「ただ参加しただけ」で終わらせない学生は何が違うのか

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「ただ参加しただけ」で終わらせない学生は何が違うのか


情報収集だけならネットで十分


就職活動が本格化する中、大学3年の後期から大学4年の春にかけて、多くの学生が企業説明会や合同イベントに参加し始めます。しかし、参加後に「よく分からなかった」「なんとなく面白そうだった」など、曖昧な印象しか持てていない学生も多いのが現実です。

企業説明会の役割は“情報提供の場”ですが、単なる情報収集であればネットや口コミサイトでも可能です。にもかかわらず、なぜ企業はコストと時間をかけてリアルやオンラインの説明会を行うのか。それは、「企業が学生を見ている」場でもあるからです。

この視点に気づいている学生は、参加の目的も行動もまったく異なります。説明会をきっかけに次の選考に呼ばれ、面接の通過率が高くなる学生は、そもそも説明会の段階から動き方が違うのです。

内定を取る学生は「話を聞きに行く」のではなく「評価されに行く」


説明会は“実質的な選考前ステージ”


選考フローに明記されていなくても、企業説明会やイベント参加の内容は、採用担当者や現場社員に共有されていることが少なくありません。

特に少人数制の座談会や対話型の説明会では、学生の質問の仕方や話す姿勢、メモの取り方など、細かな点が評価対象になります。企業によっては、参加学生の印象を社内でリスト化していることもあります。

つまり、説明会は「本選考に乗るための選抜の場」でもあるという認識を持つことが重要です。ただ受け身で参加して終わるのではなく、選考につなげるつもりで積極的に動いている学生こそが、後のステージで結果を出しています。

「印象に残る学生」になる3つの共通点


質問が具体的で企業理解に基づいている
 →「御社の理念を拝見して〜」など、事前調査を前提とした質問を投げかけている。

社員の名前を覚えて後で振り返る準備がある
 →メモの端に「△△さん(入社5年目)話していた内容」など、選考に活用する意図が見える。

終了後に企業へメールやフィードバックを送る
 →感想メールを通じて、行動量と誠実さを見せている学生は「ちゃんとしてる」と思われやすい。

これらは全て“能力”ではなく“姿勢”の問題です。説明会を本気で活かそうという姿勢が、就活全体の加速につながります。

自己PRにも志望動機にも効く“リアルな視点”は説明会でしか得られない


「企業の内側を知る」ことがESや面接で武器になる


企業を志望する際、どれだけ「らしい」志望動機を書いても、採用担当者には見抜かれてしまいます。ネットで拾える情報だけで作られた志望動機と、実際に企業と接した上で言葉を選んだ志望動機では、伝わる深さが違うからです。

説明会で出会った社員の話をベースにすることで、「この学生は自社の内側をきちんと見ようとしている」と伝わります。例えば、

「説明会でお話された〇〇さんの“数字より信頼を重視する文化”という言葉が印象に残った」

「中堅社員の方が“新人のうちから企画に入れる”と話していたことが、自分の挑戦したい方向と一致していた」

こういった“社員の言葉”を活用することで、ESや面接での言葉が「自分の経験と企業の文化が重なるポイント」として明確になります。

社員との接点が少ない業界ほど効果が高い


例えば、BtoBの企業や、地方に拠点があるメーカー、インフラ系などは、学生が普段から接する機会が少なく、イメージが湧きづらいという特徴があります。こうした業界では、説明会で得られるリアルな話がそのまま“差別化材料”になります。

つまり、「説明会で聞いた話」を“自分の言葉”に落とし込めれば、それだけで他の学生とは違った魅力が発揮できるのです。

説明会は“準備”と“行動後”で差がつく


説明会の価値は「当日」では決まらない


多くの学生は説明会当日を中心に考えがちですが、実際の成果は参加前後の行動で大きく変わります。たとえば、参加前に企業のホームページやIR情報を読み込んでおけば、説明内容が理解しやすく、社員への質問も深みが出ます。一方、何も準備せずに参加すると、ただの一方通行で終わってしまい、記憶にも残らず、企業側からも印象に残りません。

さらに、説明会終了後のフォローができていない学生が多いのも実情です。アンケートへの記入、感想メールの送信、他社との比較整理など、“行動の一手間”が就活全体の成果を左右します。こうした地味な作業をコツコツ続けられる学生こそが、面接でも的確に話せる材料を持つことになるのです。

準備の質で差がつく:事前にやるべき3つのこと


①企業情報を「数字」と「文化」の両面から整理する


多くの学生が説明会の前に企業のHPや採用ページを見るものの、実際には表面的な読み方にとどまっていることが多いです。大切なのは、数字で事業の安定性や規模感を把握し、言葉から企業文化や価値観を読み解くことです。

たとえば、以下のような点に注目しておくと、説明会の理解度が格段に上がります:

売上推移や営業利益率 → 企業の成長性や安定性

社長メッセージや社員インタビュー → 評価される人物像や価値観

商品・サービスの特徴 → 業界内のポジションや強み

これらを事前にメモしておけば、当日の話と自分の調査をリンクさせて深く理解でき、社員への質問の切り口も広がります。

②説明会で聞きたいことを「目的別」で準備する


質問内容は「何を知りたいか」によって方向性が変わります。とりあえず質問するのではなく、自分の目的に沿った質問を複数用意しておくと、話す内容にも軸が通ります。

目的別に質問を設計する例:

企業理解 → 「新卒と中途のキャリアパスの違いについて教えてください」

働き方 → 「若手が挑戦しやすい環境とは具体的にどういう点ですか?」

自分の適性確認 → 「○○のような経験があるのですが、活かせる部署はありますか?」

目的別の質問を3つ程度用意し、実際の説明内容によって適宜選ぶという方法を取れば、状況に応じて柔軟に発言できるようになります。

③質問タイミングや参加姿勢も“見られている”と意識する


企業の説明会担当者は、学生がどんな質問をするかだけでなく、「いつ」「どういう姿勢で」質問しているかも見ています。

メモを取りながら話を聞いているか

他の学生の質問にも関心を示しているか

説明中にうなずく・視線を合わせるなどの反応があるか

これらはすべて「相手の話をきちんと受け止めようとしているか」という態度の現れです。面接のように評価表があるわけではありませんが、好印象を与えた学生はその後のインターンや早期選考に呼ばれやすいのは事実です。

説明会後の“3ステップ行動”で差がつく


①内容を整理し、自分の言葉でメモをまとめ直す


説明会後、記録した内容をそのまま放置してしまう学生が大半ですが、それでは参加した意味が半減します。重要なのは、自分の中でどう解釈したかを言語化することです。

たとえば、

「この企業ではチームワークが重要視されていた。自分の学生時代の経験と結びつけられる」

「成果主義の風土が強く、挑戦志向のある人材が多そう」

このように自分の言葉で咀嚼し直すことで、面接やESに使える材料として活かしやすくなります。スマホのメモ機能などで構いませんので、10〜15分程度かけて整理するクセをつけることが有効です。

②企業への“御礼+アピール”メールを送る


あまり知られていませんが、説明会後にお礼メールを送ることで、企業側に好印象を残せることがあります。もちろん全社に送る必要はありませんが、「ここは本当に志望したい」と感じた企業にはぜひ送るべきです。

メールのポイントは以下の通り:

簡潔に感謝を伝える

印象に残った話題を具体的に書く

自分の経験や想いとリンクさせてアピールする

例文:

コピーする
編集する
本日の説明会では、○○様の「失敗から学ぶ文化を大切にしている」というお話が印象的でした。学生時代に挑戦してきた○○の経験とも重なり、より一層御社で働きたい思いが強くなりました。
このように“記憶に残る学生”になる行動は、小さな努力で実現できます。

③参加企業の比較と志望度の再確認


複数の企業説明会に参加した後は、感覚的な印象に流されず、比較して志望順位を整理する作業が必要です。説明会中に感じた社員の雰囲気、業務内容、将来像などを横並びで検討し、自分が「なぜその企業を選ぶのか」を明確にしていきましょう。

この作業を経ることで、企業ごとに具体的な志望動機を構築しやすくなります。結果として、エントリー時のESの質も上がり、選考通過率の向上に直結します。


説明会参加を“その場限り”にしないためにやるべきこと


見て聞いて終わりにする学生と、その後活用する学生の違い


企業説明会やイベントに参加したことが、どれだけ後の選考で生きるかは、参加後の「活用の仕方」で全く変わってきます。一部の学生は、説明会で話を聞いただけで満足してしまい、その内容をESや面接でほとんど使わず終わってしまいます。

一方で、選考で着実に成果を出す学生は、説明会で得たリアルな情報をES・面接に組み込むことで、説得力のあるアウトプットをしているのです。同じ時間、同じ場所で説明を聞いていたはずなのに、結果に差がつくのは、“得た情報の扱い方”が違うからです。

ESで使える「説明会を通じて感じたこと」の書き方


汎用的な情報ではなく“自分の視点”で言語化する


「説明会に参加して企業の魅力を感じた」と書いても、評価にはつながりません。面接官が求めているのは、「その説明会を通じて、あなた自身が何を考え、どう感じ、何を判断したのか」です。

たとえば、ただ「挑戦を応援する社風に惹かれました」と書くのではなく、

「入社2年目で企画責任者を任された社員の話を通じて、早い段階から裁量を持てる環境であると実感しました」

「“失敗を許容する文化”という言葉が印象に残り、自分が学生時代にゼミ活動で失敗から再起した経験と重なりました」

このように、企業の情報と自分の体験や価値観をつなげることが、ESの説得力を高めるカギです。

使えるESフレーズの構成例


以下の構成を使うことで、説明会の活用が伝わる自己PRや志望動機が書きやすくなります:

【前提】説明会に参加した事実と、その中で印象に残った話題

【理由】なぜその話題が心に残ったのか(自分の経験・価値観と結びつける)

【結果】その話を聞いて志望度がどう変化したか、あるいは企業理解がどう深まったか

この3ステップを踏めば、誰が読んでも“表面的でない志望動機”になります。

面接では「説明会の具体エピソード」が差をつける


一般論ではなく“出会った社員”を語る


説明会で社員と会話をしたり、座談会に参加した経験がある場合は、面接でも具体的に語るべきです。「その社員の発言内容」「そのとき感じたこと」「そこから自分に生まれた気づき」などを言語化することで、ただの情報ではなく、自分自身の“体験”として語れるようになります。

例:

「説明会で出会った入社4年目の営業担当の方が、“数字だけでなく信頼を積み重ねる営業が評価される”とおっしゃっていたことが印象的でした。私自身も学生時代、イベントの運営で参加者との信頼構築を大切にしてきた経験があるため、共感とともに働くイメージが明確になりました。」

このようなエピソードは、他の学生と被らない独自性を持つ“面接の武器”になります。

面接官は「なぜ説明会に行ったか」「どう活かしているか」を見ている


実際の面接では、「説明会に参加されたとのことですが、印象に残っていることはありますか?」というような質問が投げかけられることがあります。この質問に対して、「はい、社風が良さそうでした」というような抽象的な回答では、印象に残りません。

代わりに、

「○○というキーワードが繰り返し出てきており、それが御社の文化の中核だと理解しました」

「参加前は△△なイメージを持っていたが、社員の話を聞く中でその認識が変わりました」

というように、ビフォーアフターや変化のプロセスを言語化することで、理解力・行動力・共感力を同時にアピールできます。

ライバルが語れない“リアルな情報”を持っている強さ


オンライン情報だけの学生は“語る言葉”が浅くなる


企業の採用ページや口コミサイトだけで企業研究を行っている学生は、どうしても「誰でも書ける情報」しか扱えません。そのため、ESや面接での発言が無難になりがちで、差別化が難しくなります。

一方で、説明会での社員の言葉や、自分が見聞きした空気感などは、「実際に行った人にしか語れない情報」です。特に、社員との会話やインタラクティブな体験がある説明会に参加している学生は、そのまま“面接で語れるストック”を持っている状態なのです。

これは、企業にとっても「この学生はちゃんと自社に関心を持って行動している」と感じさせる重要な判断材料になります。

志望動機だけでなく、逆質問の質も上がる


面接の終盤にある「何か質問はありますか?」の場面でも、説明会での経験がある学生は具体的な質問がしやすくなります。

例:

「説明会で○○様がお話されていた“部署間連携の重要性”について、現場ではどのような工夫がされていますか?」

「説明会では若手社員の活躍が印象的でしたが、配属ガチャのような仕組みはありますか?」

こうした質問は、相手に「この学生は本当に企業理解を進めている」と感じさせ、逆に評価ポイントとして働くことがあります。

「説明会・イベント」を就活全体の戦略に組み込む


情報収集の場ではなく「選考戦略の一手」としての活用


多くの学生は、説明会や就活イベントを単なる情報収集の場と捉えています。しかし、実際に内定を獲得する学生ほど、説明会を「選考に向けた布石」として戦略的に位置づけています。

たとえば、同じ業界の企業を複数社比較するために意図的に短期間で説明会を固めて参加したり、OB訪問のきっかけとして特定企業の少人数説明会を活用したりと、説明会を手段として使っているのです。

「説明会に出て良かった」で終わるのではなく、「説明会に出たことで、選考対策や意思決定が進んだ」と言える状態をつくることが重要です。すべての行動を、“内定までの導線上の一歩”として位置づける視点を持つことが、就活の成功率を高めます。

説明会・イベントを活かす“3つの実践戦略”


① 時期別の説明会参加戦略を立てる


就活全体の流れを考えたとき、説明会やイベントに“いつ・どのような目的で参加するか”をあらかじめ設計することが重要です。

春(3〜5月)

業界地図を広く把握するための「視野拡張」フェーズ

興味のある業界に偏らず、視点を増やすことが主眼

夏(6〜8月)

インターン選考に直結することも多く、「参加の価値が高い」時期

志望度の高い企業はこの時期に積極的に参加

秋〜冬(9〜12月)

早期選考やインターン成果を踏まえた採用イベントが増加

志望業界・企業を絞ってピンポイント参加

本選考期(1月以降)

エントリー直前の情報整理・最終確認フェーズ

面接直前の疑問解消や、志望動機の最終調整に有効

このように時期ごとの目的を持って参加することで、効率的かつ深い学びが得られます。

② 同業他社の説明会を“連続参加”して差異を言語化


似たような業界でも、企業ごとに文化や将来ビジョン、人材の求め方には違いがあります。実際にそれを体感できるのが、同業他社の説明会への連続参加です。

たとえば、同じメーカーでもA社は「技術革新」、B社は「現場主義」、C社は「グローバル展開」を前面に出しているなど、それぞれの打ち出し方に違いがあります。これを踏まえてESや面接で、

「他社と比較したときに御社が最も○○に力を入れていた」

「説明会を通じて、○○という方向性が自分の価値観と一致した」

と語れるようになると、“他社ではなく御社を選ぶ理由”の解像度が一気に高まります。

③ 社員と接点のあるイベントは選考前の“仕込みの場”


座談会やパネルディスカッション、グループワークを含むような「社員と直接関われるイベント」は、情報収集だけでなく、“自己PRの実験場”として非常に有効です。

参加時の注意点は以下の通り:

自己紹介や質問で、自分の強みや関心分野を自然にアピールする

後日メールやメモを使ってフォローし、接点を定着させる

面接で「○○さんとお話しした経験がきっかけで…」と活用する

このような流れを意識すれば、企業側に「以前どこかで会った学生だ」と記憶に残る可能性が高くなり、早期選考やスカウトに繋がるケースもあります。

「どの説明会に参加するか」は自分の軸で選ぶ


有名企業よりも「情報が得られる企業」を優先する視点


知名度やランキングで説明会を選ぶ学生は多いですが、最初の内定を目指すうえでは、「自分の志向性や行動にフィットする情報が得られるか」で説明会を選ぶべきです。

とくに以下のようなイベントは、深い情報が得られる傾向にあります:

少人数制・予約制の説明会(社員との距離が近い)

OB/OGが登壇する座談会(実体験が聞ける)

現場社員の生の仕事紹介が含まれる説明会(現実感がある)

こうしたイベントは、エントリー前の判断材料として非常に有効であるだけでなく、選考対策の“素材”にも直結します。

最後に:説明会を選考突破の“武器”に変えるために


説明会やイベントを活かす就活生の共通点は、「自分なりの目的を持って行動し、得た情報を自分の言葉に変換できている」ことです。

ただ聞いて帰るだけでは、他の学生との差は生まれません。参加前には仮説や質問を持ち、参加中はメモや対話で情報を得て、参加後にはES・面接でその情報を具体的に活かす。この一連の流れを自然に組み込める学生が、最初の内定に近づいていきます。

情報のインプットだけで終わるのではなく、そこからアウトプットに転化する力こそが、“説明会を武器にできる学生”の条件です。これまで参加してきた説明会を見直し、今後の就活戦略にどう活かせるか、もう一度自分の行動を棚卸ししてみてください。小さな行動の差が、やがて大きな結果の違いを生みます。

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