なぜ“共感される人”が最初の内定を取るのか?

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なぜ“共感される人”が最初の内定を取るのか?


就職活動において、「スキル」や「経験」よりも先に人事が注目するのは、“この人と一緒に働きたいかどうか”という本能的な印象です。その第一印象を決定づける大きな要素が「共感性」です。

共感される学生とは、話す内容に“自分の言葉”があり、そこに自然と人が引き寄せられる学生です。共感があることで、自己PRも志望動機もスッと心に届き、選考を前に進めやすくなります。

共感とは「共通点の発見」ではなく「心が動くこと」


共感と聞くと、「相手と似ていること」「相手に合わせること」と誤解されがちですが、本質はそうではありません。

共感とは、“相手の話に心が動く状態”です。つまり、面接官が「なるほど」「いいね」「それは面白いね」と無意識に感じること。これは、正解を言う能力ではなく、「自分の言葉で語れるか」「率直さがあるか」「背景にストーリーがあるか」といった“感情に訴える力”によって決まります。

感情を含むエピソードは共感を生みやすい


たとえば…

「最初は人前で話すのが苦手で、全身が震えていました」

「アルバイトでクレーム対応に失敗し、店長に迷惑をかけてしまいました」

こうした“リアルな葛藤”のある話は、聞き手の心を動かしやすく、表面的な強みよりも印象に残ります。

共感される学生に共通する“話し方”と“伝え方”


共感を得られる人は、特別なスキルを持っているわけではありません。ただし、以下のような特徴的な“伝え方の型”を自然と使っています。

①「私はこう思った」から話し始める


共感されにくい話し方:
「◯◯のプロジェクトを担当し、□□を行いました。」

共感されやすい話し方:
「そのとき、私は“自分の役割が曖昧だ”と感じてモヤモヤしていました。」

→ 事実を先に語るのではなく、“自分の感情や思考”から始めると、聞き手が「そのとき何を感じたのか」に集中できます。これが心の動きを伝える第一歩です。

②「悩み→行動→結果→学び」の順で語る


面接で語られる自己PRやエピソードが“結果の自慢話”で終わってしまうと、共感が得られません。

共感される構成は以下の順です。

悩み:最初に直面した課題や迷い

行動:どんな工夫や挑戦をしたのか

結果:どうなったか

学び:そこから何を得たか

この構成があると、聞き手は「この学生はちゃんと苦労して成長してきた」と感じられます。

「伝え方」で損をしている学生が多すぎる


実は、「強みがあるのに伝え方で損している学生」が非常に多く存在します。特に、就活本などを読みすぎてテンプレ的な自己PRになってしまった学生は、“優秀”ではあっても“印象に残らない”という罠にハマっています。

テンプレ自己PRは共感されない


たとえば以下のような話は、内容が正しくても心を動かしません。

「私は主体性があります。大学ではリーダーを務めて〜」

「私は計画的に物事を進める力があります」

→ これらは、内容に“感情”がなく、聞き手が「その強みって本当?」と疑念を持ってしまう原因になります。

「私はこういう人です」より「こんな経験をしてこう変わった」方が強い


共感を得るためには、“結論”を直接語るよりも“変化のプロセス”を語ることが効果的です。

例:

「以前は周囲に頼ることが苦手でしたが、ある出来事をきっかけに“頼ることもチームの一員として大切だ”と学びました」

→ このように話すと、面接官は「それ、わかるな」「自分もそうだった」と感じやすくなります。これこそが“共感力”の強さです。

共感される学生は「内定が早く決まる」理由


企業は、「スキルが高い人」よりも「一緒に働きたいと思える人」に内定を出す傾向があります。

共感される学生は、以下の理由で内定が早く決まりやすい傾向にあります。

面接官の会話ストレスが少ない


共感される学生は、自分の話だけをし続けず、相手の反応を見ながら話す姿勢を持っています。そのため、面接官にとって「一緒に話していて楽しい」「無理せず話を聴ける」存在となります。

結果、評価が安定しやすく、通過率も上がります。

「この学生が落ちたら残念」という印象が残る


共感を呼ぶ学生は、“企業との距離感”を縮めるのがうまいため、「この人を逃すと惜しい」と思わせやすくなります。

それは結果的に、“ギリギリ合格”よりも、“是非ほしい人材”という評価を引き出すことに繋がります。

共感される話し方を身につけるには「思考」と「構成」の2つを鍛える


共感を得る力は、持って生まれた性格ではありません。実際、口下手だった学生が「話し方の思考」と「構成の型」を身につけることで、面接で高評価を得て最初の内定を早期に勝ち取ることは十分可能です。

共感を得るには、話の「内容」だけでなく、「伝え方の順番」と「感情の乗せ方」が鍵になります。今回は、その具体的な方法を掘り下げていきます。

「自分の言葉」で話せるようになる思考トレーニング


共感を得るには、いわゆる“就活用の言葉”を捨てるところから始めましょう。企業は「いいことを言っている人」よりも、「本人の人生を語っている人」を評価します。「こう思った」→「こう考えた」→「こう動いた」の順で振り返る


たとえば自己PRのエピソードを作るとき、多くの学生は「どんな成果を出したか」や「どんな役割だったか」に注目しますが、それだけでは共感を得られません。

重要なのは、そのとき「自分は何を思い」「どう考え」「なぜ行動したのか」を自分の言葉で言語化できているかどうかです。

例:

✕「サークルで代表を務め、イベントを成功させました」

○「最初は運営に自信が持てず、先輩に頼ってばかりでした。でも、後輩に期待される場面で“自分が動かなければ”と気づき、自ら進んで意見を出すようになりました」

このように、心の動きを含めて語ることで、人事の印象に強く残ります。

「なぜそれを選んだか」に言語化の価値がある


話すべきは結果ではなく、選択の背景です。

たとえば、留学・アルバイト・ゼミなど、誰もが経験しうることでも、「なぜそれを選んだか」「どう取り組んだか」の文脈があるだけで、話の個性が生まれます。

✕「海外に興味があったので留学した」

○「文化の違いを体感したくて、“知る”だけでなく“交わる”ことに挑戦したかった」

このような深みが加わると、面接官の心に届く“共感ストーリー”が完成します。

共感を呼ぶ「話の構成」は型で鍛える


共感される人は、話し方の順番が自然です。それは偶然ではなく、型を習得しているからです。以下の型を使うことで、どんなエピソードでも共感を得る構成になります。

共感される構成の型:PREP+E


PREP法に“感情要素”を組み込んだ以下の構成は、面接官の印象に残る伝え方の基本です。

P(Point):最初に結論や主張

R(Reason):そう考えた理由

E(Example):具体的な体験談(ここに感情も含める)

P(Point):最後にもう一度要点

+Emotion:体験談の中に“気持ちの動き”を入れる

例:

P:私は粘り強く取り組む力があります。

R:初めは継続が苦手でしたが、ある経験を通して考え方が変わりました。

E:アルバイトで新人教育を任された際、教え方が悪くミスが続きました。その責任を痛感し、教え方を改善するために先輩の方法を徹底的に学び、自分でも振り返りノートをつけました。

Emotion:ミスを防げなかった悔しさと、「誰かのために頑張りたい」と感じた想いが、粘り強くなるきっかけでした。

P:この経験から、困難な状況でも粘り強く課題に向き合えるようになりました。

このように、論理と感情のバランスが整った話し方は、「この人の話は信頼できる」「印象に残る」と受け取られやすくなります。

共感の精度を上げるための「言葉の選び方」


共感力は“語彙力”や“表現力”とは別のスキルです。共感される話をするためには、「相手の想像力を刺激する言葉」を選ぶ意識が必要です。

抽象語よりも「映像が浮かぶ言葉」を選ぶ


✕「頑張った」「一生懸命やった」「努力した」

○「毎日終電まで資料を直していた」「スマホのメモに反省点を記録し続けた」

→ 抽象的な表現は何も伝えません。逆に、“見える”言葉を使うと、「あ、この人は本当にやっていたんだな」と信頼感が生まれます。

「自分が感じたこと」で締めくくる


面接で話すとき、他者視点の評価ばかりを気にしてしまうと、“借り物の言葉”になってしまいます。自分の体験に自分の言葉で意味づけすることが大切です。

✕「この経験は自分の成長につながったと思います」

○「自分の行動で、初めて誰かに感謝されたとき、“人のために働くことの喜び”を実感しました」

こうした“自分だけの気づき”は、共感される最大の要素になります。

共感される話し方は「自己分析の深さ」と直結している


結局、共感される話し方とは、“自分の感情をきちんと理解している人”の話し方です。

「なぜそれを選んだのか」「なぜつらかったのか」「なぜ行動できたのか」を深掘りすることが、自分自身の言葉を作る準備となり、最終的には面接での強みになります。

面接で“共感される話し方”が通用する理由


共感される人は、話す内容や自己PRの「中身」ではなく、話し方や話す順番、伝える姿勢そのもので面接官の印象に残ります。面接官の多くが見ているのは、「この人は信頼できるか?」「一緒に働きたいと思えるか?」という人間性の部分。これは知識やスキルではなく、対話を通じて感じる“印象”で決まります。

共感力のある受け答えは、面接官に「この学生は信頼できる」「誠実だ」と思わせ、最終的に内定の決め手となることが少なくありません。

共感される学生が面接で意識している3つの姿勢


①「聞かれたことに真正面から答える」


共感される学生は、“よく見せよう”という意識を前面に出さず、まず質問に正面から向き合います。

たとえば…

✕「◯◯な強みがあります。なぜなら…」と自分のペースで話し始める

○「はい、その点については正直に申し上げると…」と、質問の意図にきちんと応えようとする

このように、“話したいこと”ではなく、“聞かれていること”に丁寧に返す姿勢は、面接官に安心感を与えます。

② 話す内容に“反省”や“失敗”を隠さない


共感される学生は、成果や成功体験だけをアピールしません。むしろ「うまくいかなかったこと」「悩んだこと」「失敗したこと」など、自分の弱さをオープンに語ります。

例:

「初めてのバイトでミスを連発して、自信をなくしていました」

「ゼミの活動では意見を出せず、メンバーに迷惑をかけたこともあります」

こうした“人間らしいエピソード”は、相手の心を動かし、信頼感を生みます。強みばかり語る学生よりも、「この人は本音で話している」と感じさせる力があります。

③ 表情・声・姿勢に“余白”がある


共感される学生は、プレゼンテーションのように「完璧に話そう」とはしません。その代わり、笑顔・うなずき・間の取り方など、相手の反応に寄り添う“余白”を持っています。

表情:終始まじめすぎず、リアクションが自然

声:抑揚やテンポにメリハリがある

姿勢:前のめりになりすぎず、落ち着いて話せる

こうした非言語的な要素も、共感される要素のひとつです。人事が「話していて気持ちいい」と感じれば、それが内定につながるきっかけになります。

面接の質問に対して“共感”を呼ぶ答え方の型


ここでは、面接でよく聞かれる質問に対して、「共感を得る答え方の型」を紹介します。単に情報を伝えるだけでなく、「自分の経験」+「感情の変化」+「学びや気づき」がセットになっていると、面接官の印象に深く残ります。

自己PR:型は“変化の物語”を使う


多くの学生が陥る罠は「強みを結論から話すこと」です。共感を呼ぶには、“変化した自分”を描く必要があります。

型:昔の自分 → 出来事 → 感情の変化 → 学び


例:

私はもともと人前で話すことが苦手でした。
しかし、ゼミで発表の機会が増える中で「話さないと伝わらない」という現実に直面し、失敗しながらも発表に挑み続けました。
その経験から、伝える努力の大切さを知り、今では人前でも自然体で話せるようになりました。

このように、「過去の弱さ」を出発点にすると、聞き手の感情が動きやすくなります。

志望動機:背景のストーリーを語る


志望動機も、共感を得るためには「きっかけ」や「原体験」に基づいた文脈が必要です。

型:原体験 → 価値観の形成 → 企業との接点


例:

幼い頃から地元の商店街が好きで、地域の人々と企業が協力している姿に憧れていました。
大学でも地域活性の活動に取り組む中で、「地元に根ざした企業で働きたい」という想いが強くなりました。
貴社の“人を大事にする風土”に共感し、自分の力を地域と社会に還元したいと考えています。

企業理解の深さよりも、“その学生にとっての意味”が伝わると、共感を得やすくなります。

共感される学生は、落ちても“記憶に残る”


共感を呼ぶ話し方ができる学生は、たとえ落選しても、企業側の記憶に残ることがあります。面接官が「惜しかったな」「良い学生だった」と感じれば、選考後に別ポジションで声がかかることもあるほどです。

また、OB訪問やイベントで接点がある場合も、印象がよければそのまま推薦につながるケースも少なくありません。

面接対策で“共感力”を磨く3つの実践方法


① 自分のエピソードを「誰かに話す」練習


面接練習よりも効果的なのは、実際のエピソードを友人・先輩・家族などに話してみること。聞いた相手が「面白いね」「そのときどう思ったの?」と反応してくれれば、それは共感のヒントです。

② 録音して、自分の話を“聞き手視点”で確認


話していると気づきにくいですが、「抽象的すぎる表現」や「感情が抜けている語り方」になっていないかを自分で確認できます。第三者の耳で聴くつもりでチェックすることが、改善の近道です。

③ フィードバックをもらう時は「感情が動いたか」を聞く


模擬面接のフィードバックで、「話の内容」よりも「どの部分で心が動いたか?」を聞いてみましょう。共感があった部分が明確になれば、そこを軸に話を組み立て直すことができます。

共感だけでは不十分?信頼へとつなげる最後のひと押し


共感力のある学生は、確かに面接官に「好印象」を与えます。しかしそれだけでは内定に直結しないこともあります。なぜなら、企業が内定を出す判断基準は「一緒に働きたい」だけでなく、「戦力として期待できるかどうか」だからです。

つまり、「共感」だけで終わると“いい人どまり”になってしまう可能性もあるのです。最終的に内定を勝ち取るためには、「共感」から「信頼」へとステップアップさせる話し方と振る舞いが重要です。

共感から信頼につなげる3つの視点


① 経験の“再現性”を語る


「その経験があったから今がある」と伝えるだけでは、企業側は「うまくいったのは偶然では?」と疑います。大事なのは、「これからも活かせる力である」ことを証明することです。

例:

✕「アルバイトでリーダーを務めた経験が自信になった」

○「状況に応じて相手の立場で考える癖がつき、今でもグループワークで自然と周囲の動きに気を配るようになった」

“それ以降の自分”の行動に変化が出ているかが、信頼を引き出すポイントです。

② 未知の状況にも応用できる視点を見せる


企業は「この学生は変化に対応できるか」「新しい課題に柔軟に向き合えるか」を見ています。だからこそ、話の最後には“未来視点”を加えることが信頼獲得のコツです。

例:

この経験から、自分が知らない分野に対しても怖がらず、調べながら手を動かしてみるという習慣ができました。今後も未経験の業務にも前向きに取り組めると思います。

このように、過去から未来への線を描ける学生は「成長可能性がある」と評価されやすくなります。

③ 自分の限界を知った経験を語る


共感されるだけでなく、「この人は現実を直視できる」と思わせる要素は非常に重要です。だからこそ、成功だけでなく“自分の限界を知った経験”を語れる人は、面接官に強い印象を残します。

例:

無理に全てを抱え込んだことで逆に周囲に迷惑をかけ、チームで動く上で「助けを求めること」も責任の一つだと気づきました。

“理想的すぎない自分”を素直に表現できると、「この人は等身大で信頼できる」と映るのです。

共感力は最終面接でこそ差が出る武器


実は、共感力は最終面接でこそ最大の力を発揮します。なぜなら、最終面接では志望動機や自己PRよりも、「この学生と一緒に働くイメージが持てるか」という“人間的な相性”が問われるからです。

最終面接で聞かれることは「あなたらしさ」


最終面接では、役員や本部長クラスが登場します。彼らは表面的な回答よりも、その人自身の“考え方”や“人生観”に興味を持っています。

共感力がある学生は、

過去の出来事に対する考え方

自分の強みの裏にある価値観

他者とどう関係を築いてきたか

など、“その人らしさ”を自然体で語れるため、結果的に「うちの会社に合っている」と受け入れられやすいのです。

共感力がある学生の最終面接の一言例


面接官:「あなたにとって働くとはなんですか?」

学生:「誰かの役に立つための行動だと思っています。ただ、自己満足で終わらないように、“相手の反応や言葉”を必ず受け止めながら動きたいと考えています。」

→ 他者視点に立った答え方ができる学生は、「この人は現場でも信頼されそうだな」と思ってもらえます。

内定を取る学生の共通点は「共感→信頼→任せたい」流れを作れること


内定を取る学生には、必ずと言っていいほど次の3つの段階が見られます。

共感:「この人の話は素直で心地よい」

信頼:「この人なら仕事でも向き合ってくれそう」

任せたい:「うちのチームで活躍する姿が想像できる」

この流れを作れるように、単に“エピソードを語る”のではなく、「どう感じて、どう変化したか」「その経験が今後どう活きるか」を言葉にする力がカギとなります。

まとめ:共感力は「無理してつくる」ものではなく「自分を整える」こと


共感される話し方とは、決して派手な話を用意することでも、感情を大げさに演出することでもありません。

自分の経験を素直に言葉にする

心の動きを隠さずに話す

相手に届く順序で構成する

聞き手の視点で言葉を選ぶ

自分の“弱さ”を見せることを恐れない

これらを積み重ねていくことが、やがて“共感力”として形になります。そして、それは結果的に“信頼”へと変わり、最初の内定というゴールを引き寄せるのです。

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