参加者全員が“同じ情報”を得る中で抜け出すには?
就活イベントは「比較されない」からこそ差がつく
説明会や企業イベントには、毎回多くの学生が参加しています。そして多くの学生は「情報を得ること」が目的となっており、企業に対して“受け身の姿勢”で臨んでいます。
しかし、就職活動では、企業側も限られた情報の中で学生を見ています。だからこそ、「差がつかないはずの場面」でほんの少し能動的に動く学生が、無自覚のまま企業の記憶に残り、選考で有利になっていくのです。
たとえば、
他の学生が黙って聞いている中で、表情豊かに頷きながら話を聞いている
無難な質問ではなく、「自分ならではの経験」から派生した質問をする
説明会の中で紹介された事業や取り組みに、自分の価値観を結びつける
こうした小さな行動こそが、説明会を“差をつける場”に変える第一歩です。
「イベント参加者」の枠を超えて“印象に残る人”になる
企業は“目立つ人”より“覚えやすい人”を選ぶ
イベントで印象に残るのは、必ずしも派手な発言をした人ではありません。
むしろ、企業が求めているのは「自然体で好感が持てる人」「会話してみたくなる人」「安心して任せられそうな人」です。
そのため、イベントで目立とうとする必要はありません。意識すべきは、「誰よりも前のめりに話を聞き」「自分なりの視点で話せる人」になることです。
たとえば:
「先ほどのお話を聞いて、自分が学生時代に経験した〇〇と重なったのですが…」という質問
終了後に「お時間ありがとうございました。〇〇の話が特に印象的でした」と感想を添えて声をかける
アンケートに、自分の関心とイベントで得た気づきを具体的に書き込む
このように、学生の中で“受け答えの深さ”や“伝える姿勢”が際立ったとき、企業は無意識に「この学生はちょっと違う」と認識します。
少人数のイベントでは“人柄”がすべて見られている
座談会や小規模イベントでは、特に「人柄」や「コミュニケーションの取り方」が見られています。
このとき意識すべきポイントは以下のとおりです:
人の話を遮らず、しっかりと聞く姿勢があるか
自分の意見を一方的に押しつけず、相手の話を拾って返しているか
話し方が論理的で、穏やかなテンポを保っているか
こうした行動は、面接よりも“ナチュラルな場面”でこそ見抜かれやすく、早期の社内評価に結びつきやすい部分でもあります。
イベントでの「質問」が評価される最大のチャンス
質問の質が、企業の見る目を変える
企業の説明会では「何か質問ありますか?」という時間が必ずあります。このとき、ただの確認事項を聞くのではなく、自分らしさを込めた質問ができれば、周囲の学生と一線を画す存在になります。
企業が評価する質問には、共通点があります:
事前に調べた情報を踏まえたうえでの質問
企業と自分の価値観を重ねるような深掘り質問
一般論ではなく「なぜこの会社でやりたいか」に踏み込んだ内容
例として:
「貴社が取り組まれている○○プロジェクトに関心があります。私はゼミ活動で□□に挑戦した経験があり、その際に感じた△△の難しさと、御社の取り組みの重なりを感じました。現場ではそのような課題をどう乗り越えているのでしょうか?」
このように、「調べた→自分と結びつけた→知りたい」という構成を持つ質問は、間違いなく印象に残ります。
チャンスは“事後”にもある
イベント中に質問のタイミングがなかったとしても、あとから行動することで十分に挽回できます。
具体的には:
イベント後に社員のSNSや企業アドレスにお礼と追加質問を送る
アンケートに「◯◯について興味があります。詳しく知りたいです」と記載しておく
エントリー時の志望動機にイベントで感じた疑問や発見を反映させる
こうした“後からの質問力”も、企業にとっては「この学生、ちゃんと考えているな」と感じられる好印象の要素となります。
差がつくのは“準備していたか”どうか
説明会を“戦略的に使う人”だけが評価される
イベントの内容は企業が準備したものですが、それをどう使うかは学生次第です。準備していたかどうかで、同じ場にいても得られるものが全く違います。
事前に準備すべきこと:
企業の理念・事業・IR情報を読んでおく
自分の関心がありそうな事業や部署を1つ選び、質問候補を考える
他の同業他社と何が違うかを明確にしておく
自分の価値観や就活軸と、その企業がどう結びつくかを整理しておく
これだけ準備していれば、イベント中の理解度が格段に上がり、質問や感想の質にも差が出ます。
結果として、企業にとっても「この学生は他とは違う」という認識を持ってもらいやすくなるのです。
説明会の体験を「志望動機」に変換する技術
実体験を盛り込むことで文章は“生きた言葉”になる
説明会で得た情報を文章に落とし込めない学生が多すぎる
説明会やイベントに参加したあと、「すごく良い会社だと思った」「社員が魅力的だった」という感想を持つ学生は多くいます。しかし、それをエントリーシートや面接で言語化できている学生はごくわずかです。
企業が知りたいのは、「なぜこの会社なのか」「なぜ他社ではなくこの企業で働きたいのか」という本音です。その答えは、説明会で得た情報や感じたことに基づいて構成することで、他の学生との差別化が図れます。
感想ベースのまま終わらせず、「どうして魅力的に感じたのか」「どこが自分と重なったのか」を深掘りし、自分なりの視点で再解釈することが重要です。
「ただの共感」から「応募理由」へつなげるステップ
志望動機への変換フレームワーク
説明会で得た印象を、志望動機として伝えるためには、以下のような流れを意識すると効果的です。
- 印象に残った出来事や言葉(客観的事実)
例:「説明会で○○部の△△さんが“新人でも失敗できる環境がある”と話していた」 - 自分の価値観や経験との共通点(内面)
例:「私はサークル活動で新しいプロジェクトを提案し、周囲に働きかけた経験があり、挑戦できる環境に惹かれた」 - その企業を選ぶ理由としての結論(意思)
例:「だからこそ、自分の挑戦志向とマッチする貴社で働きたいと思った」
この構造を使えば、「一方的に褒める」志望動機ではなく、「自分の過去→企業→未来」へとつながる説得力ある内容が生まれます。
具体性が評価される志望動機の条件
企業に評価される志望動機には、共通するポイントがあります。
「説明会で聞いた●●」のように具体的な場面が入っている
企業理解だけでなく、自分自身の性格・価値観と照らし合わせている
他社にも当てはまる抽象的な表現(例:風通しが良い)は避けている
「こういう人材になりたい」「こういう仕事をしたい」という未来視点がある
こうした条件を満たす志望動機は、ES選考や一次面接で「読まれる/聞かれる/通過する」確率を確実に高めてくれます。
説明会で得た“感覚”を「自己PR」に反映する方法
自分の強みが企業とマッチする“納得感”を伝える
説明会で聞いた企業の姿勢や文化が、自分の行動特性や強みに通じている場合、それは自己PRの裏付けとして非常に有効です。
たとえば、
「説明会で、社員の方が“部署を越えて連携する風土”を大切にしていると話されていました。私はアルバイトで他部署の社員と連携しながら問題解決に取り組んだ経験があり、そうした環境でこそ力を発揮できると感じました。」
このように、自分の強みと企業の価値観が重なる部分を示せれば、面接官は「この学生なら馴染めそうだ」と納得します。
自己PRの言葉選びにも“企業視点”を混ぜる
説明会で印象に残ったキーワードや表現を、自己PRの中にさりげなく取り入れることで、企業の“言葉の空気感”と自分の話が自然になじみます。
たとえば、企業が「自律」「挑戦」「周囲を巻き込む」という言葉を繰り返していたとしたら、
「私は自ら動く自律性と、周囲を巻き込む推進力を大切にしてきました」
「挑戦の姿勢を持ち、行動することに価値を感じています」
といった形で言葉を選ぶと、「この学生、うちをよく理解しているな」と印象づけられます。
これは“媚びる”のではなく、“伝える言語を合わせにいく”という戦略的なアプローチです。
面接で説明会の話を武器にするには?
単なる「参加した事実」を超える表現が必要
面接で「弊社の説明会に参加されましたか?」と聞かれたとき、「はい、参加しました。とても参考になりました」と答えるだけでは何も印象に残りません。
ここで必要なのは、
「どの発言が印象に残ったか」
「それが自分にどう影響したか」
「その経験を今後どう活かしたいか」
を語ることです。
例:
「○月の説明会で、若手社員の○○様が“仕事の8割は自分でつくる”とお話しされていました。その言葉に、自ら動くことで環境を切り拓く姿勢を感じ、私も貴社で主体的に行動する力を磨きたいと思いました。」
このようなやり取りができれば、志望度の高さや理解度、価値観の一致まで自然に伝えることができます。
「説明会→応募→面接」までをストーリーにする
企業が評価しやすい学生は、“点”ではなく“線”で語れる学生です。
「説明会に参加した→応募した→面接に来た」という流れを、すべて自分の意思で選び取ってきたというストーリーにして語ることで、熱意や一貫性が伝わります。
たとえば:
「説明会で△△という理念を知り、興味を持った」
「HPを深掘りして、自分の価値観と重なっていると確信した」
「自分の行動力を活かせる職場だと感じて応募した」
こうした語り方は、“なんとなく応募した”という印象を打ち消し、本気度の高い学生として信頼を得る一因になります。
説明会・イベント当日、“見られている”学生は何が違うのか
ただ聞くだけの学生が9割の中で浮かび上がる方法
選考が始まるのは、ES提出より前の“説明会の場”
多くの学生が「選考はESを出してから始まる」と考えていますが、実際にはその前段階、すなわち説明会やイベントの場からすでに“評価”は始まっています。
企業の人事や社員は、ただ説明をするだけでなく、参加している学生の様子をしっかり見ています。具体的には、次のような点を観察しています:
最初にどんな挨拶や態度で入ってきたか
説明中のリアクション(表情・相槌・姿勢など)
質疑応答の積極性や質問のレベル
終了後の行動(声かけ・アンケート記入・退室時の礼儀)
参加者が多いイベントでも、目立とうとしなくても、こうした“当たり前の行動”がしっかりできている学生は企業の記憶に残ります。
見られている学生の「振る舞い」はここが違う
企業の社員が自然に「好印象だな」と感じるポイント
特別なスキルがある必要はありません。大切なのは「社会人と接する場」としての最低限のマナーと誠意を持った対応です。
■ 評価されやすい学生の特徴:
姿勢が良く、話を聞くときの相槌が自然で明るい
説明を聞きながらうなずいたり、メモをとったりしている
他の学生が質問しない中で、冷静に質問をしている
「わかりやすく説明していただきありがとうございます」など一言感謝を伝える
逆に、好印象を損なう行動もあります:
視線が合わない・無表情で聞いている
メモを取らず、腕組みやスマホをいじっている
一言も話さず退出する(存在感がゼロ)
声が小さく、ぼそぼそと話す
「目立つ必要はないが、無印象では損をする」というのが説明会のリアルです。
視線・姿勢・表情——“基本”を抑えるだけで一歩抜ける
就活イベントで一歩抜ける学生は、話す内容以前に「雰囲気」で伝わってきます。それは、“社会人と接する心構えがあるかどうか”に他なりません。
まっすぐ目を見て話す
背筋を伸ばし、体を相手側に向ける
口角を軽く上げ、真剣ながらも明るさを意識する
こうした態度は、自信や誠実さを感じさせる材料になります。逆に、どんなにいいことを言っていても、表情や姿勢が悪ければ信頼感にはつながりません。
質疑応答は「目立つ場」ではなく「伝える場」
周囲を意識しすぎない質問が結果的に評価される
「何か質問ありますか?」と言われたときに、無理に“目立とう”とする学生がいますが、これは逆効果になることもあります。企業が見ているのは、“質問内容そのもの”ではなく、
どんな姿勢で質問しているか
自分なりに理解・解釈しているか
志望の軸や価値観がにじみ出ているか
たとえば次のような質問は、シンプルながら好印象につながります:
「説明会を通じて“自ら動く社員を尊重する風土”を感じました。御社ではそうした文化が根付く中で、新人が成長する際に大切にされていることはありますか?」
このように、相手の話を受けて自分の視点を加えることで、“会話になる質問”ができます。企業はこうした質問をしてくる学生を、「理解が深く、地頭も良さそう」と判断しやすくなります。
質問が思いつかないときの“リアクション質問”も効果的
質問がすぐに思いつかないときでも、リアクション型の質問であれば好印象を与えられます。
例:
「本日お話しいただいた中で、特に○○の部分が印象的でした。社員の方々がそのような働き方をされている背景には、どのような仕組みやカルチャーがあるのでしょうか?」
このように、説明された内容の“深掘り”や“背景にある考え方”を尋ねることで、参加姿勢が伝わります。無理にオリジナルな質問を作る必要はなく、「話を聞いていない人」との差をつけるだけで十分なのです。
「イベント後の一言」が採用担当の記憶に残る
終了直後こそ“個人が見えるチャンス”
イベント終了後に、他の学生がさっと帰る中で、ひとことだけでも社員に感想やお礼を伝える学生は、企業の記憶に強く残ります。
たった数秒でも:
「本日は貴重なお話をありがとうございました」
「○○の話がすごく印象に残りました」
「もし今後、OB訪問などの機会があればお願いしてもよろしいですか?」
といった言葉を伝えるだけで、“話しかけてきた学生”として存在が認識されます。
このアクションが、後日の面談案内やリクルーター接触に発展することも十分あります。
アンケートは“提出物”ではなく“自分の履歴書”
説明会後に記入するアンケートも、ただの義務ではなく自己アピールの場です。
採用担当は以下の点を読んでいます:
どこに関心を持ったか(企業理解の深さ)
どんな感想を持ったか(価値観・素直さ)
何を質問したか(志望度・自発性)
例として、以下のようなアンケート記述は好印象です:
「挑戦を推奨する風土があるというお話に共感しました。自分も大学時代、〜に挑戦してきた経験があり、貴社の社風の中でさらに成長したいと強く思いました。」
こうした内容があれば、企業の側で「この学生は面白いかもしれない」とマークされる可能性があります。
最初の内定に近づく「イベント戦略」の描き方
説明会は単発ではなく“選考設計の起点”になる
情報収集の場ではなく“自分のルートをつくる場”と捉える
説明会や就活イベントは、単に情報を得る場所ではありません。参加するたびに、自分の選考ルートを1本ずつ作っていくような意識で活用することで、早期内定につながる確度が一気に高まります。
「説明会に参加 → 志望動機が固まる → 特別ルートに案内される → 内定」のような流れは、意識して動く学生だけがたどり着ける実践的な選考ルートです。企業の側も、「接点のある学生」を積極的に追いかけていく傾向があり、最初の内定はこの“つながり”から生まれることが非常に多くあります。
内定に直結するイベントの選び方と組み合わせ方
自分の就活フェーズごとに「使い分ける視点」を持つ
内定を目指すうえでは、就活イベントを“数”ではなく“質と目的”で選ぶことが重要です。以下のように、進行段階に応じてイベントを組み合わせていくと、行き当たりばったりの就活から脱却できます。
就活初期(2〜3月):視野を広げるフェーズ
合同説明会(ナビサイト主催)
業界研究セミナー(団体主催)
OB/OG交流型イベント(大学主催)
目的:自分に合った業界・企業の候補を広げる
重視すべき行動:情報収集、比較視点、キーワードストック
就活中期(4〜5月):企業を絞って動くフェーズ
企業単独説明会(選考直結型)
小規模座談会やフィールドワーク型イベント
応募者限定の早期面談会
目的:志望企業を深く理解し、選考準備を整える
重視すべき行動:質問・自己PR・事後フォロー・志望動機への転用
就活終盤(6月以降):内定を取りにいくフェーズ
早期選考ルートの個別連絡を受けた企業イベント
インターン経験者向け説明会
面接練習型ワークショップ・模擬面接イベント
目的:企業との距離を縮め、短期決戦で結果を出す
重視すべき行動:社員とのつながり、リアクション、最終アピール
「イベント→行動→成果」の流れを毎回つくる
説明会参加後は、行動をワンセットにする
説明会は参加して終わりではなく、そこからが勝負です。企業の側も「参加したあとの行動」を見ています。以下は、毎回実践してほしい“定着型ルーティン”です。
イベント終了直後の行動ルーチン:
感想や気づきをスマホやノートに即メモ
質問が浮かんだら、その場でメモする(あとで送れるように)
担当者にお礼や質問のメール(1日以内に送る)
自分の志望動機フォーマットに追加・整理
企業サイトやSNSを再確認し、次の行動を検討
このルーティンを繰り返していくと、イベント参加がそのまま自己分析・企業理解・ES対策へとつながっていきます。
「点の参加」を「線の成果」に変えるには、参加後の処理スピードと継続性が鍵になります。
イベントの中で得た言葉を“再利用”する意識を持つ
社員が話していたキーワードや印象的なエピソードは、ESや面接でそのまま使える武器になります。企業によっては説明会で出たキーワードが面接でも使われることがあり、理解度・共感度が高い学生は「社風理解が深い」として高評価を得ます。
具体的な再利用の例:
社員が語っていた仕事のやりがい → 志望動機に転用
社風やチームの雰囲気 → 面接の逆質問に活用
イベントで聞いた成長事例 → 自己PRの裏付けに活用
全体まとめ:説明会・イベントが“最初の内定”につながる理由
参加姿勢・振る舞い・アフター行動の差が選考結果を変える
ここまでの内容を総合すると、説明会・イベントが内定に直結するのは以下のような理由によります:
企業は説明会で“学生の素顔”を見ている
振る舞いや質問の質が、印象形成に直結する
参加後のアクションで志望度を伝える学生がごく少数であるため、差がつきやすい
自分の言葉で語れる経験として、ES・面接で“使える情報”が得られる
「目立つかどうか」ではなく、「意図をもって動けたかどうか」が内定へのルートを左右します。
説明会を起点に最初の内定を取る人の共通行動
情報を受け取るだけでなく、行動につなげている
自分の軸や経験と結びつけて、発言や質問に活かしている
イベントをきっかけに企業に認知される仕掛けをしている
志望動機や自己PRにイベントの学びを転用できている
このようなアクションを積み重ねていくことで、エントリー前に企業に覚えられ、選考時に「この学生は違う」と思わせることができます。
最初の内定は、こうした“説明会からの戦略的行動”の中にあるのです。