参加者の9割は“情報を受け取るだけ”で終わっている
説明会に行っただけでは何も変わらない
就職活動が本格化すると、多くの学生が企業説明会や就活イベントに参加します。しかし、そのほとんどが「ただ話を聞きに行くだけ」で終わってしまい、結果としてエントリーや面接に何も活かせていません。
就活における説明会やイベントは、単なる情報提供の場ではなく、「行動のきっかけ」として活用することにこそ価値があります。企業の説明を聞いて、少し志望度が上がった気がする——それだけで終わってしまっては、他の学生とまったく差がつきません。
本当に差がつくのは、「参加後にどう動いたか」です。そしてその動きは、最初の内定を早期に獲得するための土台になります。
「何を得たか」ではなく「何を行動に移したか」が評価される
情報収集型の就活は結果に結びつきにくい
就活がうまく進まない学生に共通するのが、情報の“受け手”で終わっているということです。何社も説明会に行き、メモも取り、企業研究はしているつもり。しかし、結果が出ない。それは、集めた情報が次の行動に結びついていないからです。
例えば、イベントで聞いた「若手でも裁量権がある」という話に感銘を受けたなら、それをESや面接でどう表現するかまで落とし込む必要があります。
「この企業の風土に自分は合いそうだ」と思ったなら、具体的にどういう点に共感し、自分の経験とどのように接続できるかを考える。こうした思考とアウトプットのプロセスが、選考で他者との差を生み出します。
イベントを「素材」にする学生が内定に近づく
情報収集に留まる就活と、イベントを“選考に使う材料”に変える就活の間には、圧倒的な差があります。内定を早く獲得する学生は、以下のようにイベントを使い倒しています:
社員の発言をメモし、志望動機の根拠として引用する
イベントで学んだ企業文化と自分の価値観をESで接続する
イベントで登場したプロジェクトや事例を逆質問に利用する
その企業と他社を比較する軸として活用する
こうした活用方法は、話を「聞いただけ」の学生には決してできません。受け取った情報を“素材化”して選考の中で再利用することこそ、イベント参加の真価なのです。
就活イベントは「自分を試す場」でもある
安全な環境で社会人と接するトレーニングができる
多くの学生は、「面接本番」で初めて社会人と真剣に対話します。これは非常にリスクの高いパターンです。一方、説明会や座談会といったイベントは、「まだ選考ではない」場でありながら、実際に社会人と話すことができる貴重なトレーニングの場でもあります。
つまり、説明会は“話す訓練”や“質問する練習”を積む絶好の機会です。ここでの経験が蓄積されれば、本番の面接や面談での自然なコミュニケーション力につながっていきます。
また、社員の言葉にどれだけリアクションできるか、気になることをどう質問するかなど、自分の課題やコミュニケーションのクセを見つける機会にもなります。
反応力・表現力のチェックリストとして活用する
イベント参加時に、自分の行動をチェックするための“振り返りフレーム”を用意しておくと、就活のPDCAが回りやすくなります。
説明会後に振り返るべき項目:
話を聞いているとき、表情や姿勢は意識できていたか
メモを取るだけでなく、自分の言葉で要点を整理できたか
質問はできたか、できなかったとしたらなぜか
終了後、印象に残った言葉をその場でまとめたか
社員と話したとき、自分の言葉で会話ができたか
これらを繰り返し振り返ることで、自分の伸びしろが具体化します。そして、それが成長実感につながると同時に、内定への実力が積み上がっていきます。
説明会・イベントは“動く入口”として使う
企業との接点をつくるだけで終わらせない
説明会は「企業とつながる入り口」です。ここで終わるか、ここから動き出すかが、就活の結果を分けます。
よくある例として、以下のような動きが“もったいない学生”のパターンです:
「いい話だったな」で終わって何も行動しない
次に何をすべきかわからず放置してしまう
就活イベントが“自己満足の活動”になっている
こうした状況を脱するには、明確な行動計画を持つ必要があります。たとえば、イベント終了後には次のようなステップを明確に決めておくのが理想です:
志望度が上がった企業にエントリー
気になった点をOB訪問で確認
聞いた情報を志望動機や質問リストに落とし込む
「動く」ことでしか得られない情報や反応があり、そこにこそ“他の学生と違うルート”が生まれます。
説明会やイベントで「質問しない学生」は損をしている
質問しない=興味がない、と見なされる現実
「質問タイムに何も聞かない学生」の印象はどうなるか
就活イベントや説明会の最後には、ほぼ例外なく「質問タイム」が設けられています。しかし、その場で手を挙げる学生はごく一部。多くは黙って頷くだけで終わります。
これは、企業側から見ると「関心が薄い」「準備が足りない」と映ることがあります。特に小規模イベントや個別説明会では、社員が参加者一人ひとりの様子をよく見ています。そのなかで、質問しない学生は“印象に残らない学生”として処理されてしまうのです。
一方、質問をした学生は、社員に覚えられる確率が格段に高まります。つまり、質問するだけで評価の土俵に乗ることができるのです。
企業が注目するのは“質問の中身”より“姿勢と視点”
正解を探す質問ではなく、自分の視点を示す質問を
学生の中には、「変な質問をして恥をかくのが怖い」「他の人の質問と被ったらどうしよう」といった不安から、質問を控えるケースもあります。しかし、企業は“答えやすい質問”を評価しているのではありません。
企業側が見ているのは、その質問に至るまでの思考や視点、取り組みの深さです。
例えば、以下のような質問は評価されやすい傾向があります:
「貴社の〇〇という制度に共感しましたが、実際の現場ではどのように活用されていますか?」
「新人時代に感じたギャップを、どのように乗り越えられましたか?」
「社内で活躍している若手社員に共通している行動や姿勢はありますか?」
これらは、企業の情報をしっかり読み込んだうえで、自分なりの切り口で質問していることが伝わります。“ただ情報を取りにきた人”ではなく、“働くイメージを具体的に持っている人”として受け取られるのです。
その場で聞けなかった質問は、あとからでも“武器”になる
イベント後の質問メールで印象を残す
たとえイベント中に直接質問できなかったとしても、機会が失われるわけではありません。企業によっては、個別の連絡先を案内したり、就活専用フォームを設けていたりします。こうした場を利用して、後日質問を送ることも有効なアプローチです。
また、「本日は貴重なお話をありがとうございました」というお礼に加え、簡潔な質問を1〜2点添えるだけで、丁寧で意欲的な印象を与えることができます。
質問内容は、自分の志望動機につながるようなものや、説明会での気づきに紐づいたものにすると良いでしょう。
たとえば:
説明会で紹介された〇〇制度に強く関心を持ちました。制度が導入された背景や、社員の方々がどのように活用しているかをより深く理解したいと考えております。
このような姿勢は、企業に「この学生は一歩踏み込んでいる」と感じさせ、選考の優遇や印象形成につながることもあります。
良い質問を生むには「準備」と「練習」が不可欠
企業研究の深さが質問の質に表れる
良い質問ができるかどうかは、事前の企業研究の質で決まります。表面的なパンフレット情報しか頭に入っていなければ、質問も「福利厚生はどうなっていますか?」のような無難なものになってしまいがちです。
一方で、以下のような準備をしておけば、より実践的な質問が浮かびやすくなります:
企業の公式サイト、IR情報、社員インタビューをチェック
SNSやニュースサイトで最近のトピックを拾っておく
説明会の前に、「今日知りたいこと」を3つ書き出しておく
この“事前の問いの設定”こそが、説明会で得る情報の質を高め、終了後のアウトプット(ESや面接での活用)にもつながっていきます。
質問は「本番に強くなる」練習でもある
就活イベントは、面接と違ってミスをしてもマイナスにはなりにくい場です。だからこそ、質問をする練習の場として最適です。説明会の質問タイムは、「聞かれないけど自分を見せられる数少ないチャンス」でもあります。
はじめは緊張していても、数回場数を踏むことで、声の出し方・聞き方・視線の置き方まで自然と身についてきます。それは、後の面接や逆質問の場面で、確実に活きてきます。
質問力とは、企業との会話の質を上げ、自分の印象を操作できる“対話型アピールスキル”です。
説明会やイベントで出会った社員との接点を“活かせる学生”になる
一度きりの出会いで終わらせる学生は多すぎる
その場限りの会話では内定につながらない
説明会やイベントに参加すれば、ほぼ必ず企業の社員と接する機会があります。座談会や質疑応答、個別相談など、形式はさまざまですが、多くの学生はその場限りの会話で終わってしまいます。
「雰囲気が良さそうだった」「丁寧に答えてくれた」——それで満足していては、内定には結びつきません。
説明会で出会った社員との接点は、企業とのつながりを“個別化”するための入口です。ここを丁寧に活かしていくかどうかが、最初の内定の早期獲得において大きな差を生みます。
“つながり”を持つだけで選考への追い風になる
人事以外の社員との接点が「志望度の証明」になる
採用の場では、「本当にこの会社に入りたいと思っているのか」を確認するために、企業側は“動機の根拠”を求めてきます。このとき、説明会やイベントでの社員とのやり取りを具体的に語れる学生は、他の学生より一歩抜きん出た存在になります。
たとえば、
「現場社員の方と直接話す中で、業務内容だけでなく、部署間の連携の深さや社風の一体感を実感できた」
「入社3年目の若手社員が大きな裁量を持っていたことを実際のエピソードで聞き、働く姿がイメージできた」
このように、“企業パンフレットには載っていない情報”を得ていること自体が、熱意と行動の証明になるのです。
人事が見ているのは「動いたかどうか」
就活において、人事が評価しているのは「どれだけ説明会に参加したか」ではありません。彼らが注目しているのは、「出会った社員とどんな会話をし、それをどう活かそうとしたか」という具体的なアクションです。
つまり、“会いに行った”だけではなく、“話したことを踏まえて何かを決めた”学生に対して、企業側は信頼を寄せます。
説明会後に“社員との関係”を深める3つのステップ
ステップ① 印象的だった社員にメモを残す
まずイベント中に話した社員や、印象に残った発言は、その場でメモに残しておきましょう。企業名だけでなく、「誰と何を話したか」「そのとき何を感じたか」「どのように自分と重なったか」まで書き出しておくことが重要です。
この記録があるだけで、ESや面接で「どこで企業に惹かれたのか」を具体的に語れるようになります。
ステップ② お礼メールで距離を詰める
印象に残った社員には、イベント後にお礼のメールを送るのが効果的です。内容はシンプルで構いませんが、会話した具体的な内容に触れたり、その話から得た気づきに触れると、ただの“礼儀”を超えた印象を与えます。
たとえば、
本日は貴重なお時間をいただきありがとうございました。〇〇のご経験について伺えたことで、貴社での働き方がより明確にイメージできました。
このようなメールを通じて、「会話を覚えてくれている」「その話から行動を起こしてくれる学生」として記憶されやすくなります。
ステップ③ OB訪問や社員紹介につなげる
さらに一歩進んで、「もっと詳しくお話を聞きたいです」と丁寧にお願いすることで、OB訪問や別社員の紹介につながるケースもあります。
実際、説明会では話しきれなかったことを後日話せる場を設けてくれる企業も少なくありません。特にベンチャーや中堅企業は、柔軟に個別対応してくれる傾向があります。
このような動きを通じて、“一参加者”から“関係を築いた志望者”へとポジションが変化していくのです。
イベントで出会った社員を「選考の味方」に変える
“社内で応援してくれる人”をつくる
説明会やイベントで出会った社員が、選考の中で「あの学生、いい子だったよ」と一言つぶやくだけで、結果が変わることがあります。こうした社員のコメントは、採用に直接関与しない立場であっても、企業の合議制において一定の影響力を持つことがあるのです。
これは、採用選考が“個人評価”ではなく“チーム判断”で進められるケースが多いことに起因します。
つまり、社員との接点は「評価者」を増やすための動線でもあるということです。
志望動機の厚みがまったく変わる
イベント参加のあとに社員と接点を持ち、その言葉や経験を自分の志望理由に取り入れることで、ESや面接での説得力が一段階上がります。
「ネットで調べた企業情報を話す学生」と「実際に働く社員の話をもとに自分の志望を語る学生」では、評価が違って当然です。
採用担当者が惹かれるのは、「この学生はうちの人と会って、話して、納得して志望しているんだな」とわかる表現力と実感のある言葉なのです。
内定に直結する説明会・イベントの選び方と活用法
「とりあえず参加」の姿勢では結果は出ない
参加数より“選び方”が就活の明暗を分ける
説明会やイベントには数多くの種類がありますが、「とりあえず片っ端から参加する」だけでは成果にはつながりません。実際に、数十社のイベントに出席したにもかかわらず、志望動機や企業理解に結びつかず苦戦する学生も多くいます。
これは、「情報収集」と「企業選定」の区別が曖昧なまま参加しているケースに起こりがちです。最初の内定を狙うなら、イベントの“質”を見極め、明確な目的意識を持って参加する必要があります。
自分の就活フェーズに合ったイベントを見極める
早期:業界発見と視野拡大が目的のイベントを優先
就活初期(大学3年の夏〜秋頃)には、業界研究や職種理解を目的とした大型イベントがおすすめです。合同企業説明会やキャリアフェアなど、多くの企業と“出会う”ことを目的に設定することで、自分の選択肢を広げることができます。
この時期は、以下のようなイベントに積極的に参加すると良いでしょう:
就活エージェント主催の合同説明会
大手ナビサイト主催の業界別フェア
自治体や大学が共催する地元企業イベント
このフェーズでは、「知らなかった企業との偶然の出会い」が内定につながることも少なくありません。広く参加し、印象に残った企業にはすぐに企業研究を深めておくことが鍵になります。
中期以降:企業ごとの個別イベントに絞っていく
就活中盤(大学3年の冬〜大学4年の春)には、自分が志望する企業や業界がある程度絞られているはずです。この時期に有効なのは、企業単独の説明会や選考直結型イベントです。
特に注目すべきイベントは以下のようなものです:
オンラインで少人数制の説明会(社員との座談会付き)
選考免除やES提出免除がついている早期特別イベント
インターン参加者限定の本選考直結イベント
この段階では、「参加すれば何か得られる」イベントではなく、「この企業で自分を売り込める」イベントにリソースを集中させましょう。
イベントを“組み合わせて”成果を最大化する
同業界のイベントを連続して比較する
効果的な戦略の一つが、「同業界のイベントを複数比較して参加する」ことです。たとえば、同じIT業界でも企業ごとに説明のスタンスや社員の姿勢、取り上げる事業領域が異なります。
同じ条件で複数社を比べることで、以下のようなメリットがあります:
自分に合う社風や価値観が見えてくる
志望動機の差別化ポイントが見つかる
各社の強み・弱みが浮き彫りになる
その結果、エントリー企業をより“深く・狭く”選べるようになり、選考準備が格段に効率化されます。
同じ企業のイベントに複数回参加する価値
また、同じ企業の説明会に複数回参加することにも大きな意味があります。特に、1回目の参加後に「社員と話す」「質問する」「お礼メールを送る」などのアクションを起こしておけば、次に参加したときに企業側から「覚えている学生」として認識されやすくなります。
この蓄積は、ESや面接でも使えるネタとなり、「複数回接触して理解を深めた学生」として高評価を得る材料になります。
時間と体力を消耗せずに最大の成果を得る行動戦略
オンラインと対面を使い分ける
コロナ禍以降、企業説明会の多くがオンライン化しましたが、リアルイベントの復活も増えています。それぞれにメリットがあるため、目的に応じて賢く使い分けることが重要です。
オンライン:短時間で多数の企業を比較しやすい。記録も取りやすく、移動不要。
対面:社員の雰囲気や社風が肌で感じられる。印象も残しやすい。
例えば、最初はオンラインで情報収集を行い、興味を持った企業の対面イベントに絞って参加するという形が理想です。
“他の学生が動かない日程”を狙う
説明会やイベントの参加は、学生生活のスケジュールとの兼ね合いで偏りが出ます。多くの学生が参加しない時間帯や日程(早朝・土日・平日昼間)に開催されるイベントは、少人数制で社員と話せる確率が高いのが特徴です。
他の学生が動かないタイミングで一歩踏み出すことで、競争率が下がり、チャンスをつかみやすくなります。
まとめ:説明会・イベントの“見方”と“動き方”が内定の分かれ目
説明会やイベントは、単なる情報収集の場ではなく、内定のきっかけをつくる選考前の舞台です。多くの学生が“なんとなく参加して終わり”にしてしまう中で、ここを戦略的に活用できる学生だけが、選考で一歩リードできます。
本記事では以下の視点で解説してきました:
参加の姿勢:情報を受け取るのではなく、自ら質問し関係を築く姿勢が大切
質問力の活用:中身よりも視点と意欲を見せることが評価される
社員との接点:話して終わりではなく、継続的なアクションが差を生む
イベントの選び方:就活フェーズに合わせて組み合わせ、行動を最適化する
内定は、「特別な能力を持った人」だけに与えられるものではありません。日々の説明会やイベントの中で、どれだけ丁寧に動いたかが結果に直結します。
最初の内定を目指すなら、説明会は“チャンスを仕込む場”として使い倒してください。そうすれば、選考に進んだときに「あのときの行動が活きた」と実感する瞬間が必ず訪れます。