自分は「普通」だと思っている就活生こそ、戦い方を変えるべき
「目立つガクチカがない」と感じて不安になっているあなたへ
就活を始めると、すぐに他人との比較にさらされます。SNSではインターン経験が豊富な学生や、ガクチカに使えるような成果を掲げる同級生の投稿が目に入り、「自分は何もない」と感じてしまうこともあるでしょう。
実際、「サークルで副代表をしていた」「起業経験がある」「長期インターンでバリバリ活躍していた」といった目立つエピソードを持つ学生がいるのは事実です。しかし、そんな人ばかりではありません。
むしろ大多数の学生は、特別な成果や肩書きのない「普通の学生」です。アルバイトはレジ打ち、サークルは幽霊部員、ゼミは出席しているだけ。そんな自分に自信が持てないまま、「このままで内定が取れるのだろうか」と焦りを募らせることになります。
だからこそ、最初に伝えておきたいのは、「普通の学生にも通用する戦い方はある」ということです。そしてその戦い方は、“準備の方向性”と“自己表現の工夫”によって形づくられます。
特別な経験がないなら、“選考の型”に徹底的に寄せる
面接官が見ているのは「エピソード」ではなく「伝え方」
「すごい経験がある人が内定を取る」と思い込んでいませんか?実際はそうではありません。企業の面接官が見ているのは、ガクチカの「内容の派手さ」ではなく、「その経験から何を学び、どう活かしているか」です。
つまり、たとえば飲食バイトのエピソードでも、
課題を発見した経験
解決に向けて工夫した行動
結果として得た成果や学び
それを仕事にどう活かすかの視点
これらの構成が整っていれば、十分に評価されます。逆にいくら“起業”や“リーダー経験”があっても、それをうまく言語化できない人は、面接で落とされることが多々あるのです。
「内容勝負」ではなく、「構成と解釈勝負」であることを理解すること。これが“普通の学生”が戦う第一歩です。
“普通さ”を強みに変える構造を知る
「自分にしか語れない視点」は“当たり前”の中に眠っている
多くの学生が、自分の経験を「特に語ることがない」と感じて埋もれてしまいます。しかし、人事が見たいのは「あなた自身の考え方や人となり」です。
たとえば、以下のような“普通の経験”でも見方を変えれば魅力にできます。
レジ打ち → 接客中の声のトーンとテンポを意識して顧客満足度を向上させた経験
コンビニのバイト → 新人育成の工夫を通して業務効率化に貢献した経験
サークル → 運営側ではなかったが、継続参加して周囲との信頼を築いていた姿勢
ここで大事なのは、“表現の構造”を学ぶこと。つまり「結論 → 課題 → 行動 → 結果 → 学び」の型を使うことで、どんな経験でも就活で使える“話”に変換できるようになります。
この型は、普通の経験を“意味のある経験”に変換する鍵であり、それを身につければ、エントリーシートでも面接でも堂々と語れる武器になります。
企業が求めるのは“派手さ”よりも“安定した行動力”
「ちゃんと働いてくれそう」と思わせることが最初のゴール
新卒採用の本質は、「この人と一緒に働きたいと思えるかどうか」です。そしてその判断は、ガクチカの派手さや成績の優秀さよりも、誠実さ・協調性・安定性といった“人柄の信頼感”に大きく左右されます。
たとえば、
決められたことをきちんと継続してきた
周囲との関係性を大事にしている
指示を受けたことに素直に取り組める
自分で考えて着実に改善できる
これらは、いずれも“特別ではない”が、働くうえで極めて重要な要素です。そして、これらは“普通の学生”こそが備えていることが多いのです。
企業が欲しいのは、目立つ人ではなく、長く安心して一緒に働ける人材です。この視点で自己PRを作れば、あなたが“普通であること”はむしろ武器になります。
自分の中にある“使えるネタ”の見つけ方
「ガクチカがない」人でも語れる素材は必ずある
就活準備において最初に悩むのは、「自分には何も語れることがない」という思い込みです。しかしそれは、自分の経験の価値を正しく見ていないだけです。特別なリーダー経験や起業経験がないとしても、多くの学生には以下のような“就活で使えるネタ”が存在します。
アルバイトのなかで任されていたこと
サークル活動を通じての学び
ゼミで地道に調査や発表を積み重ねた経験
就活準備で自ら動いて企業研究をしたこと
家庭や地域の中で継続的に関わったこと(例:介護・町内会など)
問題は「その経験を就活にどう変換するか」という技術です。これを整理しないまま自己PRを考えると、「やっぱり自分には何もない」と自信を失ってしまいます。
“エピソードの棚卸し”を構造化してやるべき理由
書き出すことで、自分でも気づいていなかった資源が見つかる
「使える経験」は、あなたの中にすでに存在しています。ただ、それが「使えるもの」として整理されていないだけです。そこでまずやるべきなのが、“エピソードの棚卸し”です。
以下のようなカテゴリで、自分の経験をメモ帳やスプレッドシートなどに書き出してみてください。
これまで継続してきたこと(習い事、アルバイト、活動)
自分なりに工夫したこと(仕事のやり方、伝え方、時間の使い方など)
一度失敗したがリカバリーした経験
他人から褒められた言動や成果
頑張ったが報われなかった体験(これも材料になります)
ここでのポイントは、「結果がすごくないといけない」と思わないこと。むしろ面接官が見るのは、「どう考えて、どう行動したか」です。つまり、「プロセス」にこそ価値があります。
書き出してみると、自分では意識していなかった行動の積み重ねや、成長の種がたくさん見えてきます。そこから就活で語れる素材が自然と浮かび上がってくるのです。
「人柄」と「価値観」を中心に語る戦略
経験を盛らずに“姿勢”と“考え方”で勝負する
“普通の学生”にとって有効な戦略のひとつが、「人柄」と「価値観」を中心に据えた自己PRです。派手なエピソードがない代わりに、「この人と一緒に働いたらうまくやれそう」と思わせる材料を提供するのです。
たとえば、以下のような視点で構成を考えると効果的です。
自分はどんなときにやる気が出るか
自分が大事にしている考え方(たとえば“約束を守る”や“途中で投げ出さない”など)
仲間とどのように関係性を築いてきたか
失敗したとき、どうリカバリーしてきたか
ここで重要なのは、自分の考え方や姿勢を「ストーリー」に乗せて伝えることです。たとえば「自分は目立たないタイプだけど、周囲を支えることにやりがいを感じてきた」という価値観を、バイトやサークルの具体的な場面を使って語ることで、相手に共感を生みやすくなります。
誠実なコミュニケーションが武器になる
人事が見ているのは“スペック”よりも“印象と会話力”
面接の場では、もちろん内容も見られますが、同じくらい重視されているのが「受け答えの誠実さ」「話し方の素直さ」「相手の話をきちんと聞けるか」といったコミュニケーション面です。
これは特別な訓練やスキルではなく、“普通の学生”だからこそ持ちうる武器です。
特に以下のような姿勢が好印象につながります。
難しい質問にも一度考えてから答える丁寧さ
自分の弱みもごまかさずに伝える素直さ
相手の質問にしっかり耳を傾ける姿勢
謙虚だが自信のなさすぎない態度
「自分を大きく見せようとしない」ことが、かえって信頼感につながるケースは多くあります。これは、多くの企業が「一緒に働ける人」「成長してくれそうな人」を求めているからです。
「自己PR」の正しい構成と作り方
“自己流”ではなく“設計図”から考える
就活がうまくいかない学生の多くは、自己PRを「なんとなく良さそうな話」で書いてしまいます。しかし、それでは人事の心に残りません。自己PRは文章や話し方ではなく、構成=設計図が最も重要です。
以下の4つのパートで構成すると、初めて読んだ人にも伝わりやすくなります。
結論(私は◯◯な人間です)
具体的なエピソード(どんな場面でそれが発揮されたか)
成果・周囲の反応(結果として何が得られたか)
企業への貢献の言及(御社でどう活かせるか)
たとえば、「地味だけど責任感が強い」という性質を伝えたいなら、アルバイトでシフト管理や欠員対応を率先していた話などが適しています。ここで重要なのは、派手さではなく一貫性と納得感です。
“普通の強み”を言語化するコツ
「当たり前のことを当たり前にやる」価値を見逃さない
「自分は真面目で責任感があるだけで強みがない」と思っていませんか? 実は多くの企業が欲しがっているのは、“派手な能力”よりも“地に足のついた実直さ”です。
たとえば、以下のような特性は十分に評価対象になります。
指示待ちではなく、自分で気づいて動ける
縁の下の力持ちとして周囲を支えてきた
一度決めたことはやり切る粘り強さがある
ミスを責めず、対処を優先できる冷静さがある
これらを「ただの性格」で済ませず、「行動の一貫性」として伝えることがカギです。
たとえば、
「私は人を支えることが得意で、サークルでは備品管理や会計処理など、誰もやりたがらない仕事を2年間担当していました。遅れやトラブルが出ないよう、会計報告は全体ミーティングの2日前に済ませるよう工夫し、代表から『安心して任せられる』と信頼されました」
こうした言語化ができれば、「目立たないけど一緒に働きたい学生」として印象づけることができます。
面接で“人柄”を伝える準備の仕方
「話し方」より「受け答えの姿勢」が評価される
面接が苦手な学生の多くが誤解しているのは、「上手に話せないと落ちる」という思い込みです。実際は、“話の上手さ”よりも“誠実さ”や“姿勢”のほうがずっと大事です。
企業は以下のような要素を重視しています。
相手の目を見て話す姿勢
質問の意図をくみ取り、考えて答える姿勢
率直に「分かりません」と言える素直さ
自分の言葉で語る自信(完璧でなくてよい)
面接は「会話のキャッチボール」です。自己PRを一方的に披露する場ではなく、相手と誠実に向き合いながら、自分のことを伝える機会だと捉えましょう。
たとえば、アルバイト経験を話す際に「学んだこと」を問われたら、用意していた答えが的外れになっても焦る必要はありません。考えた上で「こういう点が役に立ったと感じています」と自分なりの考えを言えば、それで十分です。
模範解答を暗記しない
“正解”ではなく“納得感”がカギになる
就活対策本やYouTubeで“正しい答え方”を学ぶことも大事ですが、それに頼りすぎると自分らしさが消えてしまいます。
人事が求めているのは、「この学生は自分の言葉で話しているな」「自分で考えてきたんだな」と感じられる納得感です。
模範解答ではなく、以下のような視点を意識しましょう。
自分の体験に基づいた言葉を使う
失敗談や弱みも含めて話せる
“感情”や“気づき”を交えて話す
過去の経験を、未来にどう活かしたいかを語る
その場しのぎの“良さそうな答え”より、自分の中で腹落ちしている言葉のほうが、面接官の心には残ります。
各選考フェーズで「普通の強み」を最大限に活かす
エントリーシート(ES)では“地に足のついた言葉”で差をつける
エントリーシートは、最初に企業が学生を判断する書類です。ここで目を引く派手な実績がなくても、「読み手が納得できる内容」を出せれば十分に突破できます。
たとえば、目立つ経験がないなら、継続性や誠実さを軸にしたエピソードを掘り下げましょう。
例:
「アルバイト先では常にシフトの穴を埋める存在として信頼され、1年間無遅刻無欠勤で勤務を続けました。突然の欠員にも柔軟に対応し、店長から“いてくれると安心”と言われる存在になりました。」
このように、読んでいて「この人と働いてみたい」と思わせるESが、特別な経歴を超える武器になります。
グループディスカッション(GD)では“役割意識”を持つ
GDが苦手な学生の多くは、「意見を言えなければ評価されない」と思い込んでいます。しかし、発言の多さよりも“チームに貢献する姿勢”が評価されます。
たとえば、以下のような行動が高評価につながります。
議論が脱線したときに軌道修正する
意見が出ていないメンバーに声をかける
他人の意見を咀嚼し、要約して全体に伝える
これらの行動は、リーダーでなくても発揮できる“協調力”であり、採用側にとってはチームで働ける資質の証拠となります。
面接では“噛みしめるように話す”ことで伝わる
面接は自己表現の場であると同時に、信頼構築の場です。「明るく元気に」といったテンプレ的なアドバイスに惑わされすぎず、自分の言葉で丁寧に語ることを心がけましょう。
面接官は次のようなポイントを見ています。
受け答えの中に一貫性があるか
嘘や盛った話をしていないか
自分の経験をどう咀嚼しているか
多少言葉に詰まっても、焦らず誠実に伝えようとする姿勢は伝わります。自分らしいトーンと速度で話すことが、最終的な信頼感につながります。
“内定をもらう学生”に共通する特徴とは?
目立たない普通の学生でも、最初の内定を手に入れる人には一定の共通点があります。それは、以下の3つの姿勢です。
1. 完璧主義に陥らず、行動を優先する
準備に時間をかけすぎるあまり、エントリーや面接が遅れる学生は多いです。一方で、ある程度の準備でまずは動く学生は、チャンスを逃さずに経験値を積み上げます。
行動が思考を深め、改善の材料を生む。これが成長サイクルです。
2. 失敗から学び、都度改善できる
ESが通らなかった、面接でうまく話せなかった——そうした経験は、失敗ではなく“材料”です。
選考のたびに、
どの質問で詰まったか
どの表現が響かなかったか
面接官はどんな反応だったか
などをメモし、次に活かす学生は確実に強くなっていきます。
3. 他人と比べすぎない
就活では周囲との比較で焦ることが多くなります。SNSで「内定出た」という投稿を見るたびに不安になる学生も少なくありません。
しかし、「誰と比べても仕方がない」「自分に合う企業を見つけることが目的だ」と割り切れた人ほど、落ち着いた気持ちで選考に向かえます。
まとめ:派手さよりも、“信頼される人”であること
“普通の学生”が最初の内定を取るには、目立つ実績やスキルよりも、「この人となら安心して働けそう」と思わせる信頼感と一貫性が鍵になります。
ESでは派手さより納得感
面接では話の上手さより誠実さ
GDではリーダーシップより協調性
選考全体では“結果より行動の継続”
これらを丁寧に積み上げることが、“普通の学生”にとって最短の内定ルートです。大切なのは、「自分は目立たないからダメだ」と決めつけるのではなく、自分の強さを“正しい形”で伝える技術を持つことです。
その力があれば、確実に最初の内定へとつながっていきます。