多くの学生が悩む“専攻との関係”
「自分の学んできた学問と関係のある企業に行くべきなのか?」
これは、最初の内定を目指す就職活動で、非常に多くの学生がぶつかる悩みのひとつです。
たとえば、経済学部なら金融や商社、理系ならメーカーやIT、文学部なら出版や教育。こうした“専攻ごとの定番進路”は存在しますし、それに従って動くことは自然な選択にも見えます。
しかし実際には、学部・学科と就職先が完全に一致している人はごく一部です。経済学部出身で人材業界に進む人もいれば、文学部出身でIT企業に就職する人も珍しくありません。学んだことと仕事がどこまでリンクしているのか——この問いへの答えが、内定に近づく一歩目となります。
学部学科が“制約”になることもある
就活初期の段階で、学んだ分野と関係のある業界に絞りすぎてしまうと、選択肢が大幅に狭くなるというリスクがあります。特に、以下のような学生にとっては要注意です。
自分の専攻に強い関心が持てない
専門性を深めていなかった
他に興味がある分野が明確にある
たとえば、教育学部で学んでいたが教育現場よりも広告やPRの世界に関心がある学生がいたとします。そうしたとき、「でも教育学部だし…」と無理に関連性のある業界にこだわることで、かえって自分らしいキャリアを遠ざけてしまう可能性があります。
「最初の内定」に必要なのは、“関係性”よりも“納得感”
学んだことより、活かせること
面接やESで問われるのは、「何を学んできたか」よりも、「何を考え、どう動いてきたか」です。つまり、学問の内容が直接関係しなくても、自分なりに考えて行動してきた経験があれば、それは十分にアピール材料になります。
例えば——
心理学部で学んだ「傾聴力」を営業職で活かしたい
経済学部で学んだ「数値分析」をマーケティングに応用したい
文学部で鍛えた「文章力」をWebディレクションに役立てたい
このように、学部の内容を“どう応用するか”を考える方が重要です。
企業側も、学生に専門知識だけでなく、柔軟性や姿勢を求めています。
最初の内定に必要な3つの要素
最初の内定を取るためには、以下の3つの要素が非常に大きな影響を持ちます。
企業理解の深さ(その企業をきちんと調べ、納得して志望しているか)
自己理解の深さ(自分がどんな強み・価値観を持っているか)
その企業との接点を語れるか(自分がなぜその企業に合うと思うのか)
学部・学科が一致しているかどうかは、あくまで「+α」であり、内定に直結する“絶対条件”ではありません。
「それでもやっぱり不安」という人へ
専攻との関連が薄い企業も、視点を変えれば“つながる”
たとえば、文系出身者がIT企業を志望する際、「自分は理系じゃないから…」とためらうかもしれません。ですが企業が文系学生を採用している理由は、コミュニケーション力や調整力、論理的思考を期待しているからです。学問そのものより、“学ぶ姿勢”が見られています。
また、面接ではこういった言い換えが有効です。
✕「学んできたことと関係ない業界です」
◯「異なる分野に挑戦したいと思っていますが、自分の強みが活かせると感じました」
このように、“無関係”ではなく、“視点をずらせば関係がある”という考え方に変えることで、より説得力のある言葉に変わります。
「学部外でもOK」な企業を見つけるには
最初の内定獲得を目指すうえで、「自分の学部を問わない企業」を探すのもひとつの方法です。求人情報や説明会ページを見ると、以下のような記載がある企業は、文理問わず幅広くチャンスがあります。
「全学部・全学科対象」
「人物重視」「ポテンシャル採用」
「文系出身者が活躍しています」
特に営業、企画、総合職などは、汎用的な能力が求められる職種であり、どの学部からでもチャレンジしやすい傾向にあります。
学部外の企業・業種に進むための具体的アプローチ
「違う分野に行きたい」と思ったときにやるべきこと
「学部とは関係ない企業に興味がある。でもどうやって志望動機を書けばいいのかわからない」
こう感じたことはありませんか?これは、学部外の分野に挑戦しようとする就活生にとって非常に多い悩みです。
結論から言えば、学部との関連性がなくても問題はありません。重要なのは、「なぜ興味を持ったのか」「自分の価値観や経験とどうつながるのか」を言語化することです。
STEP1:なぜその分野に興味を持ったのかを深掘りする
ただ「なんとなく面白そうだから」では説得力がありません。
きっかけを具体化することが第一歩です。
アルバイトやインターンで接点があった
友人の話を聞いて関心が高まった
ニュースや社会問題から興味を持った
就活の企業研究をしていく中で魅力を感じた
どこにでもあるきっかけで構いません。ただし、それを「なぜ自分は惹かれたのか?」という内面の問いに変えることが大切です。
STEP2:「自分の経験」と絡めて説明できるようにする
専攻との関係性が薄い場合は、「自分の経験」や「価値観」と企業の理念や事業の方向性がつながっていることを示すことがポイントです。
たとえば文学部の学生がIT業界を志望する場合:
「物事を論理的に構造化して考える訓練をしてきた」
「多様な背景を持つ登場人物を分析してきた経験が、ユーザー思考に通じると感じた」
このように、自分が持つスキルや思考と、企業の事業・文化との接点を探します。
「学部外の挑戦」における企業への伝え方
志望動機で大切なのは“文脈”の自然さ
学部と関係がない企業を志望するとき、「なぜこの業界なのか」という問いは避けて通れません。ここで大切なのは、思考の流れが自然であることです。
「学生時代に○○に取り組む中で、△△という分野に関心を持ちました」
「そこで調べていくうちに□□の企業理念やビジネスモデルに惹かれました」
「自分の経験や価値観と一致する部分があると感じ、志望に至りました」
このように、「自分の経験→興味の芽生え→企業との接点→志望へと至るストーリー」を作ることで、企業側も納得しやすくなります。
志望動機が薄くなるNG例
「御社の成長性に魅力を感じたからです」
「業界が今後伸びると思ったからです」
これらは他社にも言える表現であり、“その企業でなければならない理由”が見えません。
代わりに、
「ユーザー視点を徹底する姿勢が、自分の価値観と重なった」
「文系出身でも挑戦できる育成制度があり、具体的に△△のような活躍事例を拝見した」
といった形で、企業研究と自分の背景がリンクしていることを伝える必要があります。
エントリー時に意識したい“ポジティブな言い換え”
「関係がない」ではなく「新しい接点を探す」
面接やESでは、「学部と関係がないからこそ興味がある」と前向きに表現することで、主体的なキャリア選択であることを印象づけられます。
たとえば以下のような言い換えが有効です。
✕「自分の専攻とは異なりますが…」
◯「自分の専攻とは異なりますが、大学生活で培った○○力が活かせると考えています」
✕「未経験ですが興味があります」
◯「業界未経験ながら、自ら情報を集めながら理解を深めており、強い関心があります」
このような“言葉の選び方”ひとつで、印象は大きく変わります。
面接での“よくある質問”に備えておく
企業の面接官は以下のような質問を通して「本気度」や「納得度」を見ています。
「なぜ自分の学部とは関係のない業界を志望するのですか?」
「どのように学びと結びつけていますか?」
「入社後に活かせる強みはありますか?」
これらの質問に対し、しっかり言語化して答える準備をしておくことで、「考えていないわけではない」「納得して選んでいる」という安心感を与えることができます。
学部外の企業に内定した人たちのリアルな戦略
自分と同じ境遇の「成功者」の行動に学ぶ
「学部が関係ない業界に行っても本当に大丈夫なのか?」
この問いに対する最も説得力ある答えは、実際にそれをやり遂げた人たちの行動事例にあります。
理系→広告、文系→エンジニア、教育学部→ITコンサル、文学部→営業職など、
一見「関係なさそう」なキャリアを築いている人たちは、決して少なくありません。
彼らがどのように考え、どのように企業にアプローチしたのかを知ることで、
「学部外に行っても内定は取れる」という実感を持つことができます。
【成功例1】教育学部出身・IT企業営業職
学んだ知識と職種の“本質的なつながり”を見つけた
ある学生は教育学部で教職課程を学んでいましたが、途中で教員という働き方に違和感を覚え、就職先としてIT企業の営業職を選びました。
彼が実践したポイントは以下の3つです:
「人に伝える力」や「信頼を得るスキル」が教育でも営業でも共通して重要と気づいた
IT分野に対する知識不足を認識し、自主的に用語・業界構造を学び補完した
教育的視点での説明力を武器に、他の学生との差別化を行った
結果として、営業部門の面接官からは「この業界をゼロから理解しようとする姿勢と、対話力を活かそうとする考え方に説得力がある」と高評価を得て内定を獲得しました。
【成功例2】文学部出身・Webマーケティング職
情報発信・構成力を“再定義”して企業に提示
この学生は、ゼミで近代文学を研究していました。最初は出版業界などを志望していましたが、業界の将来性や選考スピードの遅さに不安を抱え、途中からWeb業界に転向。
彼が取った戦略は以下のとおりです:
文学の研究=文章構造や表現手法を分析する訓練だったと再定義
SNSやブログを活用して、自身でWebコンテンツを発信し実績をつけた
「読者に伝わる言葉の作り方」をコンテンツマーケティングに応用
こうした過程を面接で語ることで、「未経験ながらも、業界に入りたいという覚悟を感じた」と人事から高評価を受け、内定を獲得しました。
共通点から見える“内定の鍵”
共通する3つの成功ポイント
上記のような事例を多く見ていくと、学部外の業界に内定を得た人たちには以下の共通点があります。
スキルや経験を“業界に通じる言葉”に言い換えていた
→ 自分の学びや経験を、企業側の視点で再構成できるかが重要です。
知識不足を認めたうえで、自ら補っていた
→ 「知らない」ではなく「知ろうとした」というプロセスに価値があります。
志望理由が“自分の言葉”で語られていた
→ 決まり文句ではなく、なぜ自分がその業界に向いているのかを納得感をもって語る力。
これらができていれば、学部の専門性がなくとも十分に勝負できます。
最初の内定は「挑戦への確信」が背中を押す
学部外への挑戦は不安が大きいものです。しかし、そこに向き合い、戦略的に動ける人こそが「最初の内定」にたどり着いています。
まずは自分の武器を棚卸しする
興味ある業界の価値観や評価軸を知る
自分とその業界との“接点”を見つけて言語化する
この流れを踏むことで、たとえ学部に関係がない業界であっても、他の就活生に引けを取らない土俵に立つことができるのです。
学部外への就職活動で注意すべき“落とし穴”
説得力のない“こじつけ志望動機”は逆効果
学部と無関係な業界を志望する際、もっとも注意が必要なのが、「なんとなく受けた感」がにじみ出てしまうことです。
たとえば、企業のHPをざっと読んだだけで作成した志望動機や、「成長性があると思ったから」「興味があるから」といった抽象的な表現は避けるべきです。
これは面接官にとって、「その場しのぎで選考を受けているのでは?」という印象を与えてしまい、選考への本気度を疑われる大きな要因になります。
「なんでもいい」姿勢に見えないようにする工夫
学部と関係ない企業を複数受けると、どうしても「職種や業界に一貫性がない」と思われがちです。これを防ぐために、以下の工夫が有効です。
自己分析の軸をもとに「どんな価値観を大切にしているか」を明示する
→「人と関わる仕事がしたい」「課題解決に携わりたい」など、行動軸の一貫性を示す。
業界や職種が違っても、「自分が働く上で重視する環境」が共通していると伝える
→たとえば「若手のうちから裁量を与えられる環境に身を置きたい」など。
このように、表面的な“業界名”ではなく、自分の行動原理をベースに伝えることで、企業側の納得感を高めることができます。
面接・ESで最後に差がつく3つの仕上げ
1. 企業研究を“1段深く掘る”
学部外の志望だからこそ、企業研究の深さが問われます。たとえば以下の視点を入れると、他の学生と一線を画せます。
企業のIR情報、社長インタビュー、理念の背景にまで目を通す
同業他社との違いを自分なりに言語化しておく
入社後のキャリアパス、評価制度などを具体的に調べる
これにより、「本当にこの会社を調べたうえで志望している」と伝わり、学部の違い以上に、熱意や適性が強調されます。
2. “自分の言葉”で伝える練習
ESでも面接でも、どんなに良い内容であっても、借り物の言葉やテンプレでは人事の心に響きません。
実体験に裏打ちされた表現を使う
「私はこう思った」「私はこう考えている」といった主語を明確にする
書いた内容を音読し、自分の言葉として違和感がないかチェックする
特に、学部とのミスマッチをカバーするには、「自分で考えてここにたどり着いた」という姿勢が強みになります。
3. 「その後」をイメージさせる
面接では、「この学生が入社後どう活躍するか」を人事がイメージできるかどうかが重要です。
どんな学びを活かせるか
どのように貢献できそうか
どの職種・領域に関心があるか
これらを具体的に語ることで、「即戦力ではないが、将来活躍しそうだ」という期待を生み出し、内定に繋がりやすくなります。
まとめ:最初の内定を取るための“視野と戦略”
自分の学部と違う業界でも、内定は確実に取れる
学部・学科がそのまま職種や業界につながらないことは、むしろ就活において「当たり前のこと」です。
実際、多くの学生が自分の学部と異なる分野に進んでいます。重要なのは、「なぜその道を選んだのか」を自分の中で明確にし、その意思を伝えるための言葉と行動の積み重ねです。
最初の内定を手に入れるための行動指針
自分の経験と興味から「納得感のあるストーリー」を作る
業界知識や企業理解を“自分の言葉”で語れるようにする
表面的な知識ではなく、行動の裏づけを示す
この3点を押さえれば、学部外の業界でも「志望動機の浅さ」や「なんとなく感」を克服でき、自分の進みたい道に最初の内定という形でたどり着くことができます。