ESで落ちる学生の共通点と、受かる人がやっている5つの工夫

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ESで落ちる学生の共通点と、受かる人がやっている5つの工夫

書類選考の通過率が低い学生に共通することとは?


エントリーシートは、企業が最初に目にする学生の「顔」のような存在だ。ここで印象を残せなければ、面接のステージにすら進めない。しかし、努力して書いているにもかかわらず、なぜか通過できない学生が一定数いる。その背景には、文章力や経験の差ではなく、「伝え方の思考構造」に問題があるケースが多い。

ESで落ちてしまう学生の多くは、「自分が何を言いたいのか」が曖昧になっている。また、どれほど立派な経験をしていても、それを企業が求める視点に翻訳できていないために、価値が伝わらない。つまり、「自己満足型」のESになってしまっているのだ。

なぜ“頑張った経験”をそのまま書くと落ちるのか


ESでよく見かけるのが、「アルバイトで頑張りました」「部活で努力しました」といったエピソードの羅列だ。もちろん、その経験自体が悪いわけではない。しかし、それだけでは他の学生との差が生まれない。

企業が知りたいのは、「この学生がどんな行動をとり、そこから何を学び、今どう活かしているのか」というストーリー性である。つまり、経験そのものではなく、その経験を通して形成された“考え方”や“行動原理”が伝わっているかが評価の分かれ目となる。

単なる出来事の羅列になっていないか確認する


以下のような構成ではESは弱くなる:

○○のアルバイトをしていた

忙しくて大変だった

なんとか乗り越えた

チームで協力する大切さを学んだ

このように事実を並べただけでは、“あなたらしさ”や“思考の深さ”は見えてこない。読んでいる側に「それで?どうしてその行動を?」と疑問を抱かせるESは、印象に残らない。

通過するESに共通する構造的な特徴


ESが通る学生は、単に文章がうまいわけではない。以下のような要素を盛り込むことで、読み手の興味を引き、納得感のあるストーリーを構築している。

①「背景・課題」を丁寧に説明する


まず、その経験に至る背景と、自分が直面した課題をしっかり言語化できている。これにより、読み手は「なぜその行動に意味があるのか」を理解しやすくなる。

例:「初めてのアルバイトで、店舗の業務効率が悪く、お客様のクレームが多かった」というように、環境や状況を明確に伝える。

②「自分が起こした変化」に焦点を当てる


多くの学生が見落とすのは、「自分が何を変えたのか」を具体的に描くこと。チームでの話でも、自分の役割や決断が全体にどう影響したのかを丁寧に伝える必要がある。

例:「改善案を提案し、実行まで主導したことで、待ち時間が短縮された」など、自分の影響を明確に示す。

③「思考プロセス」が言語化されている


優れたESには、“なぜそう考えたのか”という論理の流れがある。これにより、再現性のある思考力が伝わり、「この学生は、今後も課題に対して柔軟に動けるだろう」と期待を持たせる。

例:「お客様の声を分析した結果、ボトルネックがオペレーションにあると気づいた」というように、仮説→行動→検証の流れを含む。

④「学びの深さ」が明確である


企業が求めているのは、過去の成功体験ではなく、「その経験を今後にどう活かすか」という姿勢だ。学びが表層的だと、伸びしろを感じてもらえない。

NG例:「協力することの大切さを学びました」→誰でも言える。

OK例:「相手の立場を想定して伝え方を変える重要性を実感した」→自分ならではの学び。

結果よりも“納得できるプロセス”が評価される


企業によっては「結果を重視します」と明言しているところもあるが、実際には“結果までのプロセス”にこそ評価軸がある。たとえ成果が小さくても、どう考えて行動し、何を得たのかが伝われば、十分に評価対象となる。

特に新卒採用では、「完成された人」ではなく「育てがいのある人材」を求めている企業が多い。その意味でも、ありのままの経験を磨き、言語化し、自分の言葉で語れるようにすることが、最初の内定への近道になる。

企業が惹かれるESの“内容構成力”とは


自己PRや志望動機に一貫性はあるか


エントリーシートの審査で、企業が最も注目するのは「内容の一貫性」である。自己PRではチームでのリーダー経験を強調しているにもかかわらず、志望動機では「個人で裁量を持てる仕事をしたい」と記述している学生は、思いのほか多い。

一貫性とは、「伝えたい自分像」がすべての設問でズレなくつながっているか、ということだ。企業側は短い文章の中から、「この人は自社でどんな働き方をしそうか」「どのように成果を出すタイプか」を想像している。そのため、ES全体を貫く“核となる人物像”が設定されていないと、読み手に違和感を与えかねない。

自分のESを見直す際は、以下のような視点でチェックするとよい。

自己PRと志望動機が矛盾していないか

アピールする価値観や強みがぶれていないか

読み手に「この人はこういう人だ」と印象が残るか

ESとは、単なる“質問への回答”ではなく、自分という人物の“プロフィール冊子”のようなものである。

魅力的な文章は「構成」で決まる


ESで自分をうまく伝えるためには、文章そのもののうまさよりも「構成の工夫」が欠かせない。魅力的なESの多くは、「読みやすく、論理的で、印象が残る構成」を持っている。よく使われるのは以下の型だ。

自己PR・ガクチカで有効な構成パターン


結論(自分の強み・特徴)

背景(その強みが発揮された場面)

課題・困難

工夫・取り組み

結果と学び

今後への活かし方(企業にどう貢献するか)

この構成を使えば、同じエピソードでも“強み→根拠→再現性”が明確に伝わる。たとえば、「調整力」が強みなら、「人と人の意見の対立を解消したエピソード」→「なぜそれができたか」→「どのように工夫したか」→「結果としてどうなったか」という流れで書くと、ESに説得力が増す。

志望動機で使える構成パターン


なぜその業界か

なぜその企業か(業界内での位置づけや特徴)

自分の価値観・強みとの接点

入社後のビジョンと活かし方

この流れを押さえることで、「なんとなく良さそう」ではない、明確な理由と動機を持った志望動機になる。特に、業界内での企業の立ち位置(例:ベンチャー/大手、BtoB/BtoCなど)に触れると、深みが出やすい。

文章の“読みやすさ”を軽視しない


いくら中身が良くても、読みにくい文章では評価されない。エントリーシートは大量の応募書類の中から読まれるため、「読みやすさ」が選考通過率を左右する。以下の3点を意識して改善するだけで、印象は大きく変わる。

一文を長くしすぎない(目安は40〜50文字以内)

接続詞で文のつながりを明確にする(「しかし」「その結果」「だから」など)

主語と述語の関係がはっきりしているか

また、段落ごとにテーマを分けて「読み手が整理しやすい構造」を作ることも重要だ。箇条書きの使用や、数字・固有名詞を入れるなども、内容の具体性を高めるテクニックとして有効である。

伝わるESは「論理」と「熱意」のバランスがある


企業はESを通じて、学生の「考える力」と「動機の本気度」を同時に見ている。つまり、論理的に一貫しているかつ、自分の言葉で情熱を持って語られているESが、最も高評価を得やすい。

よくあるNGパターンは、テンプレート通りの無難な文章。読んでいて心が動かないESは、次の選考へは進めない。「この会社で働きたい」と感じたきっかけや、自分の過去と企業の未来をどう重ね合わせているかを、自分の言葉で伝えることが重要だ。

ESで落ちる人の共通点と、その修正方法


「自分の良さ」を自分だけがわかっている状態


エントリーシートで落ちる人の最大の共通点は、「伝える」ことと「伝わる」ことの違いを理解していない点にある。自分の中では良い経験だと思っていても、他者には伝わっていない。たとえば、以下のような文面は、読み手にとっては曖昧だ。

「私は責任感を持って取り組みました。」

この一文から、面接官が「どんな責任感なのか」「どのように発揮されたのか」をイメージできるだろうか? おそらく答えは「NO」だろう。ESで伝えるべきは、評価されたい“抽象的な言葉”ではなく、その“具体的な中身”である。

自己PRでも志望動機でも、読むのは他人だ。自分にとって当然の背景や意味も、読み手にとっては未知の情報である。ESで落ちる人は、「自分視点」で書いてしまい、相手に伝わらない表現になっている。

修正法:「主観」を「客観」で補う


主観的な表現を使うときは、必ず客観的な事実で補足する。たとえば:

主観のみの表現:「私は粘り強く努力できます」

修正後:「週5日、朝7時から開店準備のアルバイトを1年間継続し、欠勤ゼロを達成しました」

こうした実績や数字、行動の事実を並べることで、言葉の信ぴょう性が格段に上がる。

「何を伝えたいのか」が途中でぼやけている


もう一つの典型的なNGパターンは、文章に“芯”がないケースだ。最初に強みとして「行動力」を挙げておきながら、話の途中で協調性や計画性の話に脱線していく。読み終えたとき、結局この人の強みは何なのかが残らない。

この状態では、企業に「印象が薄い」と判断されてしまう。「印象に残らない=落選」はES選考の厳しい現実だ。

修正法:「一言でまとめる」ところから始める


書き始める前に、「このESで伝えたいことは何か」を一言で言い切ってみる。たとえば:

「私は困難な場面でも前向きに行動する力がある」

「私は相手の立場を考えて行動するのが得意だ」

このように、“自分の強み”や“志望理由の本質”を一言で定義しておくと、ブレずに書けるようになる。

「企業視点」が一切ない


自己PRや志望動機が「自分語り」で終わっているESも、多くの学生がハマる落とし穴だ。企業が読みたいのは、「この人を採用したらどう貢献してくれるのか」という未来像である。

たとえば、志望動機で「御社の理念に共感しました」とだけ書く学生は多いが、それだけでは企業は納得しない。

修正法:「だからこそ御社で働きたい」までつなぐ


理念に共感したなら、その理念と自分の過去経験がどう重なるのか、自分の価値観とどう結びつくのか、そしてそれをどう業務に活かすのかまで書いてこそ、企業に響くESになる。

「“課題解決を通じて社会を変える”という理念に共感しました。私は大学の◯◯活動で〜〜な課題に取り組み…」

「その経験から、社会課題の本質に向き合うことの大切さを学びました」

といったように、理念→自分の経験→仕事での実現 というつながりを意識して構成することが重要だ。

「テンプレ感」が出すぎている


ESで落ちる人の中には、明らかに「ネットにあった例文を参考にしたな」と思わせてしまう文章を書いてしまう人も多い。こうした“テンプレES”は、読む側にもすぐにわかる。そして、「この学生は自分の頭で考えていないな」と判断されてしまう。

確かに、参考となる例文を読むこと自体は悪いことではない。しかし、それをそのまま使うと、“自分らしさ”が消える。企業は「あなたがどう考えたか」「あなたが何をしたか」を見たいのであって、「正解らしい文章」を読みたいわけではない。

修正法:テンプレではなく“自分の言葉”で書く


例文を参考にしたら、それをいったん脇に置いて、「自分ならこの問いにどう答えるか」「自分の体験をどう整理するか」をゼロベースで書いてみる。そのうえで、参考にした構成や言い回しを適度に活用するくらいのバランスがベストだ。

内定に届くESの条件とは──「仕上げ」で差がつく最終調整


読まれるESから「刺さる」ESへ


多くの学生が、「とりあえず誤字脱字がないように仕上げた」「自己PRは書けたから大丈夫」といったレベルで提出してしまうエントリーシート。しかし、企業が本当に求めているのは、単なる“完成度の高いES”ではない。採用担当者に「おっ」と思わせる“意志”や“個性”が詰まったESである。

つまり、ESは書いたあとにどう磨くかで完成度が決まる。最初の内定を目指すなら、以下のような最終工程に注力すべきだ。

全体の一貫性を再確認する

読み手の疑問に先回りして答える構成にする

「なぜうちの会社なのか」に答えているか確認する

フォーマットや表現を企業ごとに最適化する

一貫性チェックで信頼感を担保する


ESの中で評価されるのは、自己PRや志望動機そのものだけではない。全体を通じて一貫性があるか、主張に“ブレ”がないかも重要だ。たとえば、「周囲を巻き込む力がある」と自己PRしているのに、ガクチカでは個人作業のエピソードしか書いていないと、評価は分かれてしまう。

一貫性を保つには、自分の軸(価値観・強み・行動傾向)を明確にして、それがすべての設問に通じているかを見直すこと。各項目がバラバラではなく、「この学生はこういう人なんだな」と自然に伝わるESは、読まれる側に安心感を与える。

「深堀り」に耐えるエピソードの磨き方


エントリーシートで書いた内容は、面接で必ず聞かれる。だからこそ、「深堀りされたら困る」ような薄いエピソードは選ばないことが大前提だ。

磨き上げの段階では、ESに書いた経験について、以下の視点で掘り下げてみよう。

なぜその行動を取ったのか

自分が考えたこと、感じたことは何か

その行動で周囲にどういう影響を与えたか

自分の行動は最初から最後まで一貫していたか

こうした内省の積み重ねが、エピソードに“厚み”を持たせる。内容に嘘や誇張がなく、自分の言葉で話せる状態にまで落とし込めているかが、企業の見極めポイントになる。

「うちに来てくれる理由」が明確なESは強い


企業が最も注目しているのは、「なぜ当社なのか」という志望理由だ。ここが曖昧なESは、内容がどんなに立派でも通過しない。

ありがちな失敗は、業界や職種の話に終始してしまい、企業ごとの違いが語られていないパターン。これを避けるには、企業研究に基づいた“接続の言葉”が必要だ。

たとえば、

「御社の研修制度は、挑戦を後押しする文化が根付いていると感じた」

「学生主体のインターンシップでの社員との対話から、御社の風通しの良さに惹かれた」

といったように、実体験やリサーチ結果と、自分の志向がどう結びつくかを具体的に書くことで、他の学生との差別化ができる。

フォーマットを侮らず、“魅せる”工夫を


企業によってフォーマットは異なる。文字数制限や設問の数、手書きか入力かなど、多様な形式がある中で、最適な“見せ方”を意識するだけでも通過率は変わる。

特に文字数制限ギリギリまで使い、余白を活かしつつ読みやすい構成に整えることで、第一印象は大きく変わる。見た目の整ったESは、「この学生は丁寧に準備をしている」とポジティブな印象を与えるからだ。

適切な段落分け

読点・句読点の使い方に配慮

接続詞のバリエーションで読みやすさを向上

固有名詞や具体例を活用してリアリティを持たせる

といった点を最終チェックの際に見直すことが、印象の底上げに直結する。

完成させたら“第三者レビュー”を取り入れる


自分では完璧だと思っていても、第三者の目で見れば改善点は必ず見つかる。完成したESは、できる限り就活経験者やキャリアセンターのアドバイザー、信頼できる友人などに見てもらい、フィードバックを受けよう。

特に見落とされがちなポイントは、

主張が曖昧になっている

時系列に違和感がある

感情表現が伝わりにくい

といった、“読み手の視点”でのズレだ。最終的には自分の言葉で仕上げるべきだが、客観的な意見を受け入れる姿勢もまた、良いESを作る要素のひとつである。

内定に届くESは、地道な推敲と“読み手想定”でつくられる


最終的に、ESの良し悪しを決めるのは、「どれだけ読み手を想定して書けているか」に尽きる。企業は、あなたの文章から“人となり”を見抜こうとしている。言い換えれば、ESは「自己紹介の代弁者」であり、「最初の面接官」でもある。

自分の強みや想いを伝えることも大切だが、それが読み手にどう届くか、どのように評価されるかという視点がなければ、独りよがりの文章になってしまう。

「どんな学生か伝わるか」
「会ってみたいと思わせられるか」
この2点をクリアできるESこそ、最初の内定に一歩近づける力を持つのだ。

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